日本の人材マネジメントは、戦後2回目の大転換が必要な時期

「いま、経営に資する人事とはどうあるべきか」
こうした状況を見ると、日本の企業は、いまの競争環境にフィットしなくなっている人材マネジメントのあり方をリシャッフルし、パラダイムシフトしなければならない時期に来ていると思う。パラダイムシフトとは、物事の考え方を根本から変えてしまう大転換を意味する言葉だ。日本の人材マネジメントは、過去、少しずついろいろな変化を遂げてきたが、いま必要なのは、このレベルの根本的な変化なのではないか。

 これは、日本の人材マネジメントの戦後2回目の大転換になるかもしれない。終戦後、日本では本当に年功的な人事管理が行われた時期が続いたが、1960年代半ばあたりから能力主義に移り、職能資格制度が導入された。これは1回目の大転換だったといえる。職能資格制度を導入することで、これからは人事管理をしっかりやっていこうという流れに大きく変わった。ただ、運用をいろいろ間違ったため、バブル経済崩壊後、1990年以降に成果主義という動きが起こってきた。しかし、この成果主義は大転換でも何でもなく、単に成果の測り方と処遇への連動を変えただけで、成果そのもののマネジメントになっていなかった。

 経営に資する人材マネジメントが意味するのは、ビジネスゴールを達成するための人材をどこまで獲得し、その人材をどこまで活用できるかということだ。「戦略にアラインした人事」といった言葉もよく聞かれるが、戦略というと経営企画が描く素晴らしい絵のイメージが強い。人事としては、そうではなく、具体的なビジネスのレベルでとらえることが重要だ。そして、そのときに忘れてはいけないのは働く人の視点だ。人は論理だけでは動かない。その人がどういう気持ちで仕事をしているのか、モチベーションは高いか低いかなど、人の感情に寄り添うことができないと、やり遂げることは難しいと思っている。

経営に資する人材マネジメントの3つの定理

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