「再雇用」というと“定年後再雇用”をイメージする方も多いと思いますが、採用に苦戦する企業が多い中で近年注目されているのが、「アルムナイ制度」、「カムバック制度」、「ジョブリターン制度」などと呼ばれている制度です。これは“かつて自社で働いていた人を再雇用する”というもので、人材確保や、育児・介護・病気との両立支援としても有効な制度として紹介されることが多く、この制度の導入・利用を助成金の対象としている自治体もあります。そこで今回は、「再雇用制度」(以降、「アルムナイ制度」)のポイントを紹介します。
「アルムナイ制度(カムバック制度)」とは。採用難を乗り切るため“退職者を再雇用する制度”について知ろう

「アルムナイ制度」のメリットとデメリット

昨今、働き方が多様化し、ワークライフバランス推進のための取り組みが広がってきています。とはいえ、様々な事情から仕事を継続することが難しく、「やむを得ず退職する」という選択をする方もいるでしょう。

仕事に復帰できる状況になったとき、自社に戻ってきてもらう「アルムナイ制度」には、様々なメリットがあります。厚生労働省が企業に対して行った調査では、「退職前に培った業務経験を活かして働いてもらえる」、「不足した人材を確保することができる」、「会社への愛着を持った人を雇用することができる」、「教育コストを抑えることができる」といった回答が挙がりました。採用や教育のコスト、ミスマッチなどを考えると、自社のことを理解している人材に戻ってきてもらうことには大きなメリットがあります。また、転職や起業、留学など、自社の外の世界を経験した人材を再雇用することで、職場に新しい知識や経験を取り入れることも可能となるでしょう。

従業員側から見ても、ミスマッチを防ぎやすい上、再就職へのハードルが下がります。「大学に入り直したい」、「起業に挑戦したい」などといった、個人のキャリアプランや人生目標の実現の後押しにもなり得るかもしれません。

また、これらの制度は、病気治療や家族の介護が必要になったときにも有用です。病気治療や介護は状況も変わりやすく終わりが見えないため、「時短勤務などの制度を使えば仕事を続けられるのか」、「休職をすべきか」、「退職すべきか」など、仕事と両立する計画が立てにくいと言われています。そういった事情を抱える人にとっては、自社にアルムナイ制度があると「退職の選択をしても戻ることができる」という安心感にも繋がるでしょう。

一方、退職の仕方や再雇用時の待遇によっては、その人が戻ってくることで「現従業員のモチベーション低下」や「社内の雰囲気悪化」というデメリットも考えられます。

「アルムナイ制度」導入のポイント

●対象者を定める

まずは制度の対象者を決めましょう。例えば、解雇した人物も対象者とするのは会社にとってメリットがありません。また、退職後20年以上経過した人に戻ってきてもらっても、かつての技術が通用せず、新卒社員と同等の戦力にしかならない可能性もあります。

このように、退職した全員を対象者にすることにはリスクがあります。まずは会社としてアルムナイ制度に何を求めるのかを明確にします。その上で、「退職理由を絞る」、「退職後の期間を定める」、「退職時の年齢や勤続年数を定める」など、アルムナイ制度を利用できる対象者を具体的に定めましょう。

●再雇用の条件を定める

会社も人も変化していきます。再雇用の対象だからといって無条件で再雇用するのではなく、面談などを経て、再雇用の可否について改めて判断することを推奨します。そのためには、再雇用を認める条件を考えておくことが大切です。

また、再雇用後に元の部署に戻すのか、給与などの待遇面はどうするか等も、定めておくとよいでしょう。「再雇用=待遇などもそのままに無条件で復職できる」との認識を生じさせないためにも、「アルムナイ制度はあるが、再雇用の可否は面接などを経て判断する」、「再雇用時の条件は退職時と同じとは限らず、再雇用時の状況から判断する」といったことをきちんと明文化しておくことが必要です。

●現在の会社の状況をきちんと説明する

再雇用時、取扱商品やサービス、社内の体制や制度が退職時と大きく変わっていることも考えられます。それによるミスマッチを防ぐために、「退職した時と何がどのように変化しているのか」、「現在の会社の状況がどうなっているのか」などを事前に説明する機会を設けることも大切です。「アルムナイ制度」運用に際して、再雇用制度の対象者には定期的に自社の状況を連絡し、それらを踏まえた上で再雇用の応募をしてもらっている会社もあります。


生活や働き方が多様化し、以前に比べて採用が困難と言われている今だからこそ、人材確保の施策の1つとして「アルムナイ制度」を検討してみるのはいかがでしょうか。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!