サイバーエージェント曽山哲人氏「人事なんでも質問会!」開催レポート後編

特別読み切り

「日本の人事を強くする」ことを目的とした会員制の人事勉強会コミュニティ、HLC。「人事なんでも質問会!」セミナーレポート後編では組織の進化、サイバーエージェントの役員人事、びっくり退職防止といった様々な観点での質問が飛び交った。

ゲスト

  • 曽山 哲人 氏

    曽山 哲人 氏

    株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括 / 株式会社CyCAST 代表取締役社長

    新卒で株式会社伊勢丹(現 株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社し、1999年にサイバーエージェントへ中途入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は取締役人事統括として採用・育成・活性化・適材適所に取り組む。著書に「強みを活かす」「最強のNo.2」「クリエイティブ人事」など。人事担当者向けコミュニティ「HLC」を主宰。

Q 人事の仕事をされていて、曽山さん個人として一番進化したと思えるタイミングはどんな時でしたか。合わせて、サイバーエージェントさんが組織として進化したなと思えるタイミングも教えてください。

A 個人として進化した時は、営業から人事に移ったばかりの頃だと思います。最初、半年くらいは制度もうまく機能しないし、なかなかうまくいかなかったんです。でもある時、1人の役員に仕事を頼まれて、それがトントンとうまくいった時、一言、「ありがとう」って言われたんですね。この瞬間が自分の中で分岐点になりました。

人事になったものの、何をやっていいのか分からなかったんですよ。営業ならすべきこともわかりやすい。でもその一言で、「よし、これからは『ありがとう』という言葉をもらうことを、最大化しよう。それこそ事業貢献だ。」と思いました。


サイバーエージェント、つまり組織として進化したタイミングというのは、「あした会議」を始めた頃だと思います。これは2006年にスタートした、役員の新規事業バトルですね。いつも新規事業を審査するだけの役員自身が新規事業を考えるというコンセプトです。これは今でも毎年実施していますし、ここから新会社が30社ほど生まれています。

ポイントとしては、藤田が各テーブルを回り、各チームと一緒に議論できるようになったので、アイデアがよりブラッシュアップされるようになりました。また、社長の視点でものを考えられるようになります。

当社では、新規事業を数多く立ち上げていますが、撤退基準は明確に決めています。具体的には、資本金を使い切った場合と、6四半期連続で粗利が減少した場合です。こうした項目に抵触すると、トップの入れ替えか、事業の撤退を視野に入れ、役員会で議論することになっています。


Q サイバーエージェントさんで役員になるためには、どんなことをすればいいのですか。

A 特に明文化しているものはありませんが、3つ条件があるように思います。まずは、明確な成果を出していること。役員は成果を出すことが絶対条件ですから。サイバーエージェントの場合、全体としては終身雇用でチームプレイを重視していますが、やはり役職は上にいけばいくほど、結果主義、成果主義の色が濃くなってきます。

加えて私たちは、マネージャーの段階で、人間性や人望などもチェックしています。その上で、結果を出せるというのが大事です。

もう一つは、全社視点を持っているかどうかですね。どこかの事業部に強くて、そこに関しては結果が出せる、というだけではダメで、全社に影響を生み出せる人物かどうか、というのを意識して見るようにしています。
Q 曽山さん自身は、どのような経緯で人事本部長から取締役へなられたのですか。また仕事内容はどのように変わりましたか。

A 私は2005年に人事本部長になり、2008年に取締役になりました。やることで変わったのは、週に1回の役員会に出るようになったということ。ここからさきほどの回答にも出ました、“全社視点”というのが求められるようになりました。

役員会では、この事業にいくら投資するかとか、今後どの事業で攻めていくべきかなどを議論するのですが、最初はそういった議論についていけず、本当に面食らいました。自分なりに一生懸命勉強し、意見もできるようになっていきましたが、私たちの間では、全社視点は、役員になる前からある程度持っていなければいけないと話しています。


Q まだ人事の仕事に就いて間もないのですが、社長や経営陣から「あの人、落ち込んでいそうだから、フォローしてきて」などと頼まれても、どう声をかけ、何を話せばいいのか分かりません。退職の抑止のために、サイバーエージェントさんでは、具体的にどのような対応をしていますか。

A 役員などからそのようなことを頼まれた時には、何よりスピードが大事ですね。空いている予定が翌週だった、となると、その時に状況がどうなっているかわからないため、私の場合は、取り急ぎ面談を入れます。「ちょっと、近況を聞かせて」という感じで、30分くらいでいいんです。

その面談で、相手の実情を掴む2つの質問をするんです。「今、仕事、楽しい?」と、「ちゃんと評価されている?」です。

この2つの質問をすれば本人の言葉や、表情で実情が見えてきます。そこで「これは本当に危なそうだな」と感じたら、役員に報告して役員と直接話してもらうか、もしくは自分ときちんと関係性ができていたら食事に誘い、会社から離れた場所で本音を聞きだします。

私が人事の仕事に就いた頃、退職の予測ができない “びっくり退職”がとても多かったんです。退職は仕方ないとしても、びっくり退職はよくない、ということで、人事としての私の最初の取り組みは、このびっくり退職をゼロ化しようということでした。

それで取り入れたのが、今もやっている「月イチ面談」、いわゆる1on1です。月に一度、上司と部下でとにかく面談をしてもらう。そして上司には、各メンバーのコンディションはどうかと、報告してもらったり、私たち人事のほうから聞きに行ったりもしました。そうして従業員のコンディションを“拾う”という訓練をしていったのです。

それでいざ退職者が出た時に、現場の事業部長やマネージャーに聞きます。「これは予測できていた話なのか、できていなかった話なのか」と。予測できていたというなら、それを拾えていなかった私たち人事にも非がある。でも、現場の上司が予測できていなかったとしたら、話は違います。きちんと面談をして、危ない状況を把握できていれば、先手を打って、配置転換もでき、財産とも言える大切な人材を失わずに済んだかも知れないのです。

昔は、本当にびっくり退職が多かったんです。特に活躍している人材にこれが多かった。活躍しているということは責任感が強い、だからこそ悩んでもいるわけです。上司や人事は、悩んでいることに気づかず、「彼はいつも表彰されているから大丈夫だろう」という見方をしてしまいがちで、上司も人事も誤解する。それである日、急にびっくり退職をされるわけです。私は人事に就いてからしばらくの間、とにかく、このびっくり退職だけはなくそうと力を注ぎました。

面談が絶対に必要と断言はしませんが、面談をしたほうがびっくり退職を減らせる、これは確かと言っていいでしょう。一時、年間30%近くあった退職率は今、年間で10%未満で推移しています。

しかし、退職率を減らした大きな要因は、実は面談だけではありません。むしろもっと効果的だったことがあります。それは、社員同士の仲を良くすることです。社員同士の関係性を築くことに投資を惜しまないようにしました。たとえば、飲み会であったりとか、部活であったり、表彰であったりですね。

社員同士の関係性が良くなれば、辛いことがあってもお互いに相談しやすくなります。また、仲間との絆が深ければ、辞めるということも思いつかなくなるものです。何らかの制度を設ければ退職が防げるというよりは、結局、人と人との結びつきが、仕事をする上でも原点であると言えるかも知れません。
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著者プロフィール

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