女性は、もし自分が積極的に関わりたいテーマがあったら、勇気を持って起業すること。例えば、教育コンサルタントの仕事は、電話と名刺があれば一人でも直ぐ始められます。個人で独立しても良いし、何人か信頼出来る人達と連携して開業すれば安心でしょう。女性には男性とは違った女性ならではの感性があり、一人ベンチャーでも小人数の会社設立でも、やっていけるテーマが多いです。ぜひ勇気を持って前進してください。
第7回 一人コンサルタント開業
米軍での教育コンサルティングとしての勤務を離れ、まったく新しい仕事に興味を持って携わっていた私ですが、そんな折、家にあるコンサルタントの資料が「私達をどうしてくれる?」と文句を言ってきているように感じました。そこで私は「車両の仕事と、教育の仕事と、私は一体どちらが好きなのか?」「生涯の仕事にしたいのはどっちか?」と自問自答してみました。結果、キャリア形成として続けたいと思ったのは、教育コンサルタントの仕事でした。私は、人の特徴を見つけるのが好きなのです。

主婦業の家事や子育ても楽しく行っていました。アルバイトで近所の子供を集めて、我が子と一緒に英語やその他の勉強を教えていると、我が子も含めて、みんなの特徴が分かりました。我が子を集団の中で見てみると、二人の得手・不得手は明白です。長女はややリーダーシップがありますが、小粒のリーダーでした。長男はリーダーというよりその他大勢の一人で、友達は多く、仲間と何時もワイワイ騒いでいました。それぞれの長所を見つけて、それを伸ばす工夫をするのは楽しいものです。

これは教育コンサルタントの仕事に通じるものです。教育コンサルタントの仕事は、自分と相性が良く、好きなことだから、この道に進もうと決め、私は工場を辞めました。

まず、一人で教育コンサルタント業を開業しようと決めました。事務所は自分の家、設備は電話と名刺だけで十分、電話番は、家事のお手伝いさんが受けてくれると言います。そして幸運にも、地元の徳山商工会議所の協力が得られました。専務は会議所の会員に私の仕事を紹介してくれ、さらには中国地方や九州方面の商工会議所の人達にも連絡を取ってくれました。

ちょうどその頃、明治百年の祝いがあり、21世紀の日本はどんな姿になったらよいかの研究として、人材育成制度を含む未来計画をつくることが盛んに行われていました。始めに鹿児島県の商工会議所からの連絡が入ると、その後も九州の多くの都市から呼ばれ、仕事が出来るようになりました。商工会議所の会員は、地域で商店や製造工場を経営しているので、私に出来ることは、そうした会員の会社で、幹部のアセスメントを行ったり、社員教育をしたり、また各社の顧客対応や、社内の人間関係、目標設定、チームワーク、営業推進などのアドバイスをすることでした。名刺の肩書きは、分かり易く「セールス・コンサルタント」としました。

顧客からの依頼電話件数が少しずつ増え、新たなテキスト作りも必要となってくると、和文タイピストを雇いました。開業してみて改めて、私はこの仕事が本当に好きなのだと分かりました。対象地域が狭く、小規模組織がほとんどだったので、顧客各社の人や内情、仕事の流れはきちんと理解でき、地域の人達も私をコンサルタントとして受け入れてくれました。

あの頃、やっていて良かったと思うことは、仕事でお会いした方々に、毎年、暑中見舞と年賀状を出していたことです。それが相手様に届いた頃、仕事依頼の電話が来ます。現在も年に一度の年賀状だけですが、この習慣は続けています。こうしたやりとりを続けることで、お互いの消息が分かり、信頼の絆が強まります。
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