「個々人の努力や成績を無視して、生活必要経費を基準にボーナスを支払うことは誤りである」の回答傾向は、次のようになっています。
そう思う   52.6%
わからない  33.2%
そう思わない 14.1%


「そう思う=生活必要経費で支払ってはいけない」と考える人は、この数年、51~52%台になっていますが、2013年は55.0%、2006年は59.9%を占めていました。
10年間で7~8%程度、少なくなっています。つまり、「生活必要経費でボーナスも払ってよいのではないか?」と考える層が増えてきているということです。
安定志向の表れの一種であると考えられます。

この設問では「ボーナスの支払い方」しか問うていません。「ボーナス」という言葉は「特別な給与」であって、いつも出ると保障されているわけではない、というのが本来の姿のはず。
年俸制でもなければ、ほとんどの会社が一定月数(額)を出すようにはなっていますが、本来のボーナスは、臨時所得的なものです。

それゆえに、信賞必罰で組織貢献に比例する色合いが大きければたくさん、少なければそれなりに支払われるものであると思います。

実際のところ、給与そのものは「労働力を再生産するに足る金額」が支払われているのが実態なのではないでしょうか。それゆえ、ある程度の年功序列的なものが認められ、
定年退職後の雇用者は、同じような仕事なのに、給与が半分、というようなこともまま、あるのです。
同一労働、同一賃金の原則からすると、おかしいようにも感じるのですが、企業がある意味社会保障の一端を担っている状態では、年功序列にも一理あると私は考えます。
もし、医療費や教育費が完全無料で住宅費も一定で安い、となれば、年功序列は崩壊するでしょう。

また、非正規雇用者が多い現況では、多くの人に年功序列主義の効用は届いていません。それゆえ「労働力を再生産するに足る金額」も支払われておらず、
結果的に労働力が再生産されない状態が続いているのが現代だと思います。
このような世情を考え、ボーナスも含めて、労働再生産に足る経費=生活必要経費と考え、「生活必要経費でボーナスも払ってよいのではないか?」と考える層が増えたのかもしれません。

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この設問を男女別、学歴別、企業規模別で細分すると、
       男性  女性
そう思う   54.02% 50.19%
わからない  31.26% 36.69%
そう思わない 14.72% 13.12%

       高卒 短大・専門 大卒以上
そう思う   45.54% 52.78% 54.20%
わからない  39.73% 35.71% 31.11%
そう思わない 14.73% 11.51% 14.69%

       ~80人 ~200人 ~500人 ~1000人 1000人以上
そう思う   56.49% 54.23% 51.9% 55.92% 50.25%
わからない  26.72% 34.33% 34.85% 29.75% 35.01%
そう思わない 16.79% 11.44% 13.26% 14.33% 14.74%

「ボーナスは生活費」派である「そう思わない」の率は、必ずしも企業規模や学歴で比例していません。
しかし、「そう思う=ボーナスは生活費で支払わない」派の割合は、企業規模が小さいほど多く、女性より男性が多いことがわかります。学歴でも、大卒の方が高くなっています。

企業規模では、1000人以上の大きい企業の新卒社員が最も「そう思う=ボーナスは生活費で支払わない」派が少なく、逆に80名以下の中小企業の新入社員が最も生活費としてボーナスを見ていません。
つまり、大企業を目指した新入社員ほど安定的生活な思考を持っていることは間違いなさそうです。500人~1000人の規模では、一度、「そう思う」が増えており、社員数と回答傾向は必ずしも正比例していないので、
ある程度、比例していると思われます。

ボーナスや給与が増えるのは、仕事の達成感、成長感につながるものではないかと思います。何もしなくても、全員の給与が上がって行く企業がないわけではありませんが、
個々人の努力やその先にある成果がボーナスとして示されるものでしょう。
仕事の成果を出さないと、この実感は、沸きません。ややもすると、入社してから数年、実感を感じられるようになるまで時間がかかるかもしれません。
学生の間には、「成果=努力の実感値」という概念がまだまだあります。日々の業務の成果に対する感覚を持たせ、何ができたのか、それがどう評価されるのかを細かく伝えていくことが必要です。
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