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心は現代のマルコポーロ!隠れた宝「人財」を探し出せ!日本企業のグローバル人事を見つめて

第1回 多様な観点から見る日本

グラマシー エンゲージメント グループ株式会社 代表取締役 ブライアン シャーマン
2016/08/12

  私は出身地ニューヨークで日系企業を対象とした人事コンサルティングに従事したのを皮切りに、米国住商情報システムズ(現SCSK USA Inc.)での人事マネージャー、来日後はファーストリテイリング東京本社でのグローバル人事など、さまざまな立場で日本企業の人事と関わってきました。3回にわたる本連載では、そんな私が感じる日本企業が抱えるグローバル人事課題や、その解決策について書かせていただく予定です。第1回目の今回は、これまでのキャリアおよび活動の原点についてお話しします。

バブルで沸く日本。少年の心に焼き付いたグローバルな体験

  経済のグローバル化が急速に進む中、今や多くの日本企業がグローバル人材を育成する必要性に迫られています。しかしそこで実際に行われている施策や戦略は、必ずしも効果的なものばかりではありません。真のグローバル人材を育てるためには、一体何が必要で、どのような人材開発の施策(研修も含め)を行えばよいのでしょうか。今回は、弊社の提供するサービス内容について具体的にご紹介させていただく前に、私と日本との関係性や、会社設立の経緯、事業にかける想いなどについて触れさせていただきたいと思います。
 日本との最初の接点は、13歳の頃に遡ります。米国ニューヨーク市で生まれ育ち、13歳のときにニューヨークと東京との姉妹都市間の交換留学プログラムに参加し、都内の一般家庭に2週間滞在しました。時は1980年代後半――アメリカでは、日本製品やブランドについては広く知られていましたが、日本人がどのような生活を送っているのかなどは、私を含め一般のアメリカ人の多くには周知されていなかったと思います。ところが来日してみたら、街はきれいだし、鉄道網は発達している。食べ物も美味しい。海外経験が初めてだった私にとって、見るもの聞くもの触れるものすべてが刺激的でした。
 ニューヨークからは私を含め10名の生徒が参加しましたが、誰ひとり日本語を理解する生徒はいませんでした。しかしそんな私たちに、日本の中学生たちは英語でコミュニケーションを図り、楽しい時は一緒に笑い、別れの時はともに涙を流してくれました。そこで感じたのは、異なる文化の国でも人間の感情は一緒だということ。そしてこの時の経験が、「何が同じで何が違うのか」という視点を持つきっかけにもなりました。13歳の夏は、まさしく私の活動の原点なのです。

世界の人々の架け橋になりたい

  13歳のときに初めて東京に留学して以来、グローバルなことに関心を持ち始め、高校1年と2年の夏休みには、「Camp Rising Sun」という世界各国の若者がニューヨークに集結する国際サマーキャンプに参加。8週間にわたりお互いに学んだり、教えたりしながら生活しました。さらに高校3年の夏休みには、「環太平洋学生キャンプ」という国際サマーキャンプが東京と長野で開催され、アメリカ代表として再び来日しました。当時はまだ日本語は全く分かりませんでしたがいつか日本で日本人と日本語での会話ができるように目標を設定しました。
 大学入学と同時に本格的に日本語を学び、3年生の時に同志社大学へ1年間留学する機会を得ました。大学卒業後も当然のように日本に関わる仕事がしたいと思い、JETプログラム(*)に参加しました。これは英語を母語とする大学卒業者5000〜6000人が毎年日本に招聘されるもので、外国語指導助手、国際交流員、スポーツ国際交流員の3つの職種に分けられ、中学校・高校や地方公共団体の国際交流担当部局等に配置されます。1年目には富山県の高校で外国語指導助手を、2年目は富山県黒部市の市役所で国際交流員を務めました。
 こうしてアメリカと日本を行き来する中で、「両国の架け橋になれるような仕事がしたい」という想いは一層強まり、その後ニューヨークへ戻り、日系企業向けの人事コンサルティングを提供するベンチャー企業に入社しました。

* 地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省及び財団法人自治体国際化協会会(CLAIR)の協力の下に実施する事業。

日本企業の人事を異なる立場で理解する

  人事コンサルタントとしてのキャリアを積む中、人事のプロになるには、企業人事の経験が大切であると自覚し、コンサルティング会社を退職し、住友商事グループのシステムインテグレーターである米国住商情報システムズに入社しました。そこで現地人事部の運営に携わり、海外拠点から日本本社はどう見えるのか、本社とどのようなコミュニケーションを取ればいいのか、出向社員と現地社員の関係などを深く理解することができました。
 そして2007年再来日後、ファーストリテイリング東京本社人事本部配属となりました。それまでの自分の経験やグローバル視点を活用する機会に恵まれ、当時ユニクロが海外展開を加速させていく中で、人事本部が海外拠点に対しどのような役割を果たすべきか、どうリーダーシップを取るべきかなどを考える、私にとって刺激の多い日々を過ごしました。

日本と海外で得た幅広い知見を多くの企業に伝えたい

  振り返ってみれば、日系企業向け人事コンサルタントから始まり、日系企業の海外拠点の人事マネージャー、さらには日本企業の本社人事本部などを経て、さまざまな経験を積み、さまざまな視点から、日本企業のグローバル化への取り組みを見つめてきました。もちろん試行錯誤を繰り返す中、成功も失敗も経験し、幅広い知見を得ることができました。そしてそれらの知見が、グローバル展開を加速させる日本企業で役立てていただければ――そんな想いを持って、2010年に独立。グラマシーエンゲージメントグループ株式会社を立ち上げました。創業当初はコンサルティング業務だけを考えていましたが、研修やファシリテーションのニーズも多く、今までの知識や経験をどのように研修に落とし込んで提供できるか、検討に検討を重ね、コンサルティング、トレーニング、ファシリテーション、人事関連翻訳という4つのサービスを確立させるに至りました。
 ビジネスは決して簡単なものではありません。特に外国人であれば、日本人以上に日本社会に貢献できなければ、日本でビジネスをする意味はないでしょう。その点において、海外拠点から見た人事と、本部人事から見た海外拠点という両方の視点を持っていることは、弊社が提供するサービスにおいて、生かしている点だと思います。また、私自身が外国人という立場から日本人とは違う観点で物事を見ることができることも、大きな付加価値の一つです。
 私がこうして日本で暮らしているのは、「仕事は個人成長の源泉」という考えや自社利益より社会貢献を重視する日本企業の経営理念が大好きだからです。しかし、グローバル化の波に乗るためには、場合によっては従来の日本のやり方から脱却し、日本の強みをより意識して、グローバルな市場に誇りをもっていく必要があります。その後押しをしていきたいのです。

 では、グローバル化を成功させるためには、一体何が必要なのでしょうか。そのことを考えるとき、私は必ず13歳の夏に立ち返ります。グローバル化の根本は、「互いの異なる部分を乗り越えて、共通点を見つけること」。それこそが成功の鍵であると、確信しています。


【予告】
 第2回・第3回では、日本企業が抱えるグローバル人事の課題や、解決に向けた施策、さらにグラマシーエンゲージメントグループが提供するサービス内容および具体的な導入事例などをご紹介いたします。


本コラムに関する質問・お問い合わせ、グローバル化推進に関するご相談については
下記よりお問い合わせください。

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プロフィール

グラマシー エンゲージメント グループ株式会社 代表取締役 ブライアン シャーマン

米国ニューヨーク市人事コンサルティング会社にて日系企業(NY・LA)を対象に人事コンサルタントとして従事。その後米国住商情報システムにて人事総務部長に就任。在米日系企業が抱える人事の現場を内と外の視点で支える。来日後は株式会社ファーストリテイリングでのグローバル人事業務に参画。欧米露アジア拠点の人事マネジメント業務に従事。2010年グラマシーエングージメントグループ株式会社設立。現在は、日本企業の人事のグローバル化をサポートするコンサルタントとして活躍中。

米国ニューヨーク州出身、米国Williams College卒業
2007年にSHRM、Senior Professional Human Resources (SPHR)資格取得、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所 招聘研究員

12/5開催 働き方改革とHRTech最前線

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