新入社員のフォロー研修で「業績を上げているのに喜びが薄い」傾向については、過去に何度かこのコラムで報告いたしました。
成果を上げたというその実感を妙に強く求める思考があるように感じます。
小さな成功とか成長ではだめなようなのです。
早期に目に見える成功や成長実感を求めているように感じています。

新入社員は「社会の影響」を受けた上で社会に出てきます。
彼らの意識の変化は、社会の風潮を大きく反映させたものなのです。
仕事で「短期で目に見える成果を出す」ということは少ないですし、業績は10年、20年のスパンで考えないと本来はいけないのだと思います。
社会全体では、残念ながら(一時ほどではありませんが)短期での成果を求める思考がこの20年ほどの間で強くなった感じはします。
そのような傾向が新入社員の意識に出てきているだけではないでしょうか。

新入社員が2011年のデータが示すように、震災で「手に職」感を高めたり、この数年顕著な「実績を挙げても喜べない風潮」があるようであれば、それは、大人が作った何らかの時代観を受けたものに違いありません。
私は「漠然とした将来に対する不安感」がこのような思考を持たせるのではないかと思います。

意識調査全体では、その不安感に対抗する「安心感」を求めるような回答傾向があります。
「個々の人の努力や成績を無視して、生活必要経費を基準にボーナスを支払うことは誤りである」という設問は、「そう思う」という回答傾向が2013年55.0%→2014年51.2%とダウンし、「生活必要経費」を求めるかのような意識傾向になっています。
「給料や週休2日制が大切だとは言われるが、働き甲斐を求めることの方が人間らしい生き方が出来る」という設問では、同様に「そう思う」という回答傾向が2013年66.6%→2014年60.8%と、働き甲斐よりも給料や休暇を求める傾向になっています。

新入社員がなんらかの安心感や帰属意識を企業に求めていることは、間違いないと思います。その安心感を与えられる経営が社員を成長させるものと合致したとき、企業が成長するのではないでしょうか。
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