私は会社というのは、ある種のコミュニティだと思っています。
コミュニティの中には、能力の高い人もいれば、低い人もいますし、仕事の得意、不得意を互いに補い合うことで、生産性を高めているのです。
この共同体意識が組織に属する個々人にはまず必要なことだと考えています。
この共同体意識は、組織に甘え、成長を放棄し、依存することではありません。
「能力を発揮すること」は求めているので、その点業績志向の上に立ったものであることを忘れてはなりません。
さて、意識調査での「職場のグループ内の協調も大切だが、まず一匹狼になってもいいから人に負けない仕事をすることの方が、自分のためであり、会社のためである」の回答傾向は、次のようになっています。

そう思う   9.4%
わからない  11.7%
そう思わない 78.9%

この設問の回答傾向は、過去14年間をみてもほぼ8割が「そう思わない」と答え続けており、大きな変動はありません。東日本大震災以後、絆を重視するようになり、関係性は薄いながらも友人をたくさん持とうとする今の若者の傾向を考える、近年は、もっと「協調重視」の傾向が出てもおかしくないと思います。
ところが、そうはなっていません。2004年から2010年までは「そう思わない」という回答率は8割を越えており、2010年にはなんと83.5%もの新入社員が「そう思わない」と答えているのです。それが、2011年には78.4%まで下がっているのです。
この解釈は、難しいのですが、協調重視よりも、やや「手に職」等のある種の安定志向なのかもしれません。他に次のような設問で2011年に著しく傾向が変わっています。

・給料や週休2日制も大切であるが、働き甲斐を求めることの方がより人間らしい生き方ができる(「そう思う」が3.1%増)。
・会社は利益を出せなければ、社会の発展に役立っているとは言えない(「そう思う」が4.3%増)。

一方で、
・仕事に喜びを発見するなどというのは理想理論である。
仕事は所詮つらいものだという心構えが大切(「そう思わない」が3.8%減)。
と、仕事そのものには冷めた目を持つようになったのもこのときです。
働き甲斐は求めたいが、仕事に喜びは見つからないと考える、ちょっと困った傾向が強まっているようです。

次ページへ

  • 1
  • 2

この記事にリアクションをお願いします!