企業で研修を行う場合、その企業の研修担当の方が冒頭で受講者に研修の趣旨や、スケジュールを説明してからスタートします。
その際に、研修担当者が「上司から、この研修について何か聞いているか?」と受講者に質問することがしばしばあります。
多くの受講者が
「自分の営業スタイルを見直す機会にするように言われました」
「後輩も入ったので、指導のやり方を学んでくるように言われました」等、
上司から言われたことを答えます。

しかし、時々
「この忙しい時期に、研修をやるのは迷惑だと言っていました・・・」
「人事は、もっと現場の状況を考えて研修をやってほしいと話していました・・・」等と
コメントする人がいます。

そのようなコメントをした人が、研修に後ろ向きというわけではありません。
しかし、上司からそのようなコメントをされて職場を離れ研修を受けている心境はどのようなものなのでしょうか?集中して研修を受けられるでしょうか?

確かに2~3日間、主力のメンバーが現場にいないというのは、なかなか厳しいものがあるのは理解できます。
しかし、それをメンバーの目の前で「この時期に研修とは、迷惑だ」などと発言すると、学ぶ意欲を削いでしまいます・・・。

私たち上司は、長い目でメンバーの成長を考える必要があります。

例えば、「営業研修」「プレゼン研修」「企画研修」等といったスキル研修の場合、メンバーの力が伸びるチャンスです。営業スキルが少しでも向上すれば、行動が変化します。
行動が変化すれば、お客様の反応が変わり、「やりがい」につながるかもしれません。
結果的に、能動的な動きが増え、実績が上がることにつながります。

「3年目研修」「係長研修」等といった階層別の研修では、チームワークをアップするチャンスです。
後輩指導を学んできたメンバーが、主体的に若手の相談に乗り始めるかもしれません。
また、自分のキャリアを考えてきたメンバーが、「新たな仕事にチャレンジしたい」と目を輝かせて提案してくるかもしれません。

私たちは、メンバーを成長させる「育成指導責任」があります。
もちろん、日々の指示や指導を通じたOJTを中心に育てます。
ただ、OJTだけではどうしても補えないものがあります。
私たちが経験していないこと、専門外のことは具体的に指導できないからです。
それをフォローするのが研修なのです。
せっかくメンバーが様々な知識に触れたり、他の受講者から刺激を受けて成長する機会を与えられたのに、私たち上司が目の前の仕事だけを考えて「この忙しいときに・・・」とつぶやいていいのでしょうか?

メンバーの成長、そしてメンバーの将来を考えたら、
「今度の研修では、〇〇をぜひ学んできてくれ!」
「面白そうな研修だな。帰ってきたらぜひ内容を報告してほしい」等、
前向きなコメントをかけて送り出したいですね。

きっと研修で「上司に良い報告ができそうだ!」と活き活き学び、チームの実績向上に貢献する行動を取ってくれるはずです。
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