インターンシップのあるべき姿とは

最後に、インターンシップの在り方について、各企業から寄せられた声を紹介します。
・インターンシップ受け入れ企業というとイメージは良いが、採用に直結しないインターンシップは負担としか思えない(商社、301~500名)
・内容の薄いインターンシップはかえって学生の評判を落とすのでやらないほうがよいと考えている。1日と期間は短いが内容の濃いものにしたい(医薬品、101~300名)
・企業、学生、大学がインターンシップに求める成果が異なり、効果も定義も非常に曖昧になっているように思える。インターンシップに実効性を持たせるためには、各大学が企業・学生双方にとってのメリットを明確化するような橋渡しとしての役割を担う必要がある(通信、501~1000名)
・学生が就職する上で「職業観」「仕事観」というものを事前に知る機会になればと思っています。そのため、1人でも多くの社会人と接する機会にしてもらえるよう、インターンシップ期間中には、多くの部署の者と話す機会を設けています(フードサービス、5001名以上)
・インターンシップから選考直結へとつながる流れは、「青田買い」と言われて非難されることもあるが、一つの理想的なマッチングの手段でもあり、今後その流れが日本でも定着していくと考えられるし、むしろ推進していくべきではないのかと考える(もちろんインターンシップ以外の選考窓口はきっちり残す前提で)(情報処理・ソフトウェア、501~1000名)
・これまでは大学とのコネクションなどを考慮して受け入れを断ることが少なかったが、今後は選考と同様、応募者を切っていくことが必要になってくると感じている(通信、5001名以上)
・学生にとっては『就活のツール』、企業にとっては『選考のための手段』になってしまっているので、「インターンシップ」以外の名称をつけるべきでは? とも思う(百貨店・ストア・専門店、501~1000名)
・3月解禁となる対策として、就職ナビがインターンシップに力を入れるのは日程変更の本来の趣旨に合わないと思います(百貨店・ストア・専門店、51~100名)
・本当に仕事を学ぶためなら、1日や2日ではなく1~2週間はインターンシップを実施すべきだと思うが、経団連に採用活動を左右され、就職情報会社にあおられ、ほとんどの企業は本来のインターンシップではない違う目的のために実施しなければならないこの状況は、少し異常だと思う(情報処理・ソフトウェア、51~100名)
・当社のようなB to Bの中小企業にとって、入社後のギャップを避ける一つの方法ではある。ただし、現状は解禁日前の裏技的位置付けなので、釈然としないものがある(運輸・倉庫・輸送、301~500名)

 就業体験を通じた学生のキャリア開発というインターンシップ本来の理念と、採用活動に活用せざるを得ない現状の中で葛藤を続ける企業の姿が浮かび上がって来ます。そのどちらも「インターンシップ」と呼ぶことが混乱の元になっているのかもしれませんね。
 ただ、インターンシップはもはや採用・就職とは切り離せないものとなっていることは歴然とした事実です。インターンシップ先進国である欧米では、インターンシップからの就職が当たり前のルートとなっているように、インターンシップを学生のキャリア支援だけにとどめることにはどだい無理があります。インターンシップを採用・就職に活用することを、就職後のミスマッチ低減のためにも、むしろ推進していくべきだと考えます。インターンシップの在り方については時期の問題を含め、意見の分かれるところだと思いますが、学生と企業、そして大学にとって、それぞれがメリットを感じられるものに変容していくことができればと思います。

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