ここ最近は、新入社員について「ゆとり世代が入ってきた!」と必要以上に意識する会社が目立ちます。
 もちろん、我々が新入社員だった時代とは違う感覚を持っていることは間違いないのですが、そんなに珍しい人達ではない。
 私は、毎年多くの新入社員と接しますが、私のときよりもはるかに優秀であると感心することの方が多いですね。
しかし、「最近の新入社員は・・・」「行動が理解できない・・・」などと嘆く上司が何と多いことか。
 確かに、「指示してもやっていない」「自分ひとりでやろうとしてしまい、相談がない」等、問題のある行動を取る新人もいないではありません。
 でも、それは我々の時も同じだったのではないでしょうか?

 私は新入社員研修中で、「自ら上司に報告せよ」「色々な先輩社員と話すように努力せよ」とお伝えしています。

 ただ、我々上司も全く同じ。
「会社のことを新人に丁寧に報告せよ」「自ら声を掛けて新人と話すように努力せよ」です。
 しかし、新人は相当若い・・・。大卒ですと23~24歳。
高卒だとなんと18歳。頭によぎるのは「ジェネレーションギャップ・・」

 ただ、我々ジェックでは以前から「会社にジェネレーションギャップなどない」とお伝えしています。
一つの目標を追い求める仲間であり、年齢など関係ないと。
 もちろん、世代で見聞きしてきたものが違うのですからそれについてはギャップがあります。
そこで、上司の皆様に努力いただきたいのは、新人の世代が何に興味を持ち、どのようなものを見聞きしているのかを調べて欲しいということです。

例えばご自身のお子様に聞いてみる、親戚の大学生に聞いてみる。
分からなければ若者が読みそうな本やテレビを見てみる。
「なんだ、こんなもの。くだらない」と思わないでください。
そのようなものに興味を持っている世代なんです。

 新人をはじめ、若手の社員を「異質だ」「おかしい」と見るのは簡単です。
しかし、そのような眼差しで見ていて、強いチームになれそうでしょうか?
 むしろ、「そのような世代であり、我々がそれを理解しなくてはいけない」という感覚を持ち、広い心で見てあげることも大切ではないでしょうか?

 「飲みに誘っても来ない・・・」これを、「なんて付き合いの悪いやつらだ」ではなく、「自分の時間を大切にしている」と見てみる。
「一人で全部やってしまおうとする・・・」これを、「コミュニケーション能力の無いやつらだ」ではなく、「責任感が強く、行き過ぎてしまうこともある」と見てみる。

我々が「変だ」と思いがちなところは、むしろ今の世代の新人の強みなのかもしれません。

強いチームを作るためには、当然チームワークが必要です。
チームメンバーが同じ目標に向かって共に考え、協力し合い、足並みをそろえて行動することが理想です。

 一方でそうはうまくいかないことが多いのも事実。みんなが協力して行動しようとしているのに、「私は興味がない」といった態度を示すメンバーがいることもあります。
 朝礼をつまらなそうに聞いていたり、会議中も大あくび。
我々上司が注意をしようものなら、反抗的な眼差しを向ける・・・。

 このようなメンバーがいたらどうしますか?
 私もこのようなメンバーがいたことがあります。まだ若い20代のメンバー(男性)でした。
その頃は「やる気がなさそうでとんでもない奴だ」と思ったこともあります。
時には、「こいつ、営業で外に出ているけど、本当に仕事しているのか?サボっているのではないか?」と疑ったことさえあります。

 そんなある日、私が異動することになり、メンバーが送別会を開いてくれました。
その席で、一番落ち込んでいたのは・・・その彼だったのです。
 「松井さんがいなくなるとは信じられません・・」となんとも寂しそうな態度。
あれだけやる気がなさそうだったので本当にびっくりしました。

 その後、しばらく経ってから彼と飲みました。
そこで彼は「私のビジネス人生の中で、まともに話をしてくれた上司はあなただけ。うれしかった」と打ち明けられました。

彼は転職をして来たのですが、それまで非常に厳しい業界におり、上司からパワハラまがいの扱いを受けていたようです。
ですから、上司に対して不信感を抱いていた。
そんな中、普通に接してくる上司に対して「ありがたい」と思いつつも、自分がどのような態度をすればよいか分からなかったのです。
 コミュニケーションが不器用だったんですね。

 私はそんなこととは全く気づかず、「なんて奴だ!」と思っていたのです。
 上司として恥ずかしかったですね・・・。

 素直ではないメンバーや、反抗的な態度を示すメンバーがいるとどうしても警戒してしまうことが多いですね。私もその一人です。

 しかし、今回紹介した彼のように、そんな態度をとるには何か理由があることが多い。我々は「なんて奴だ」と思う前に、「何かあったのかな?」と考え、メンバーの目線で考え、接し、理解することが必要なのです。
 本当に難しいですが、それが上司の力を伸ばすのかもしれませんね。
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