日々仕事に追われていると、なんとか整理して、もれなく、ストレスなくこなしたいと考えることだろう。

単純な ToDo 管理からGTD まで、方法論は世に満ちている。Facebook などで、仕事をばりばりこなしている友人が「このツールがいいよ」と投稿していると、自分も使ってみようと思う。
だが、真似してみたものの、うまくいくとは限らない。

今回の話は、タスク管理がしっかりできていて、仕事の効率化を果たしている人には、必要ない話だ。
これからとりかかってみようと思う人、やってみてはいるが、なんとなくうまくいかないと感じている人、何度か挫折した人、そんな人にはヒントになるだろう。
タスク管理の落とし穴

ツール、方法論探しにはまる

Remember The Milk、Toodldo、Nozbe、Todoist、Wunderlist。
上記はどれも、人気の高い ToDo 管理ソフトである。
また、Outlook や、Google カレンダーにも、ToDo 管理の機能がある。
サイボウズなどのグループウェアでも同様だ。
自分に合うものがみつかるまで、いくつか試してみるのも、一概にムダとは言えない。

だが、残念ながら、既存のソフトで、自分の仕事にぴったりはまるものはないと考えたほうがよい。
逆に仕事自体の組立を、ツールに合わせることが必要になってくる。
これを何度も繰り返すのは、ムダが多い。

さらなる問題は、ネットにあふれている「◯◯の使い方」「こうすれば◯◯で仕事効率化できる」「仕事ができない人の◯つの特徴」という類の記事を、次から次へと閲覧し、それで時間が過ぎてしまうことである。

タスク管理自体は仕事ではないのだが、タスク管理ツールを使いこなすための情報収集をしていると、なんとなく仕事をしているような気分になってしまう。

タスク管理を行う本来の目的は仕事の効率化であることを忘れて、うまくタスク管理することが目的になってくると、このような本末転倒な事態が起きてしまう。

自分が困っていることは、たいていすでにほかの人が考えていて、解決策をみつけており、ネットを探せば答が落ちている場合が多い。情報収集自体はするべきだが、時間を決めるなどして、はまらないようにすることが必要だ。

タスクをこなせない理由は、すべて自分のガンバリが足りないせいだと考える

デジタルにしろ、紙でリストアップするにしろ、最初ははりきって、たくさんのタスクを書き出してみる。

GTDの解説にも、「最初に考えられるものすべてを inbox に書き出す」などと書いてある。

これ自体はよいのだが、問題は、それを1日にみっちり詰め込んでしまうことである。

とくに、最初のうちは、仕事にかかる時間の見積がうまくできないということもあるだろう。

毎日のレビューで、完了できないタスクが溜まってきたときに、「自分がもう少しガンバれば」と考えて終わりにしていては、意味がない。

そう考えていると「きちんとタスクをこなせない自分はダメだ」という方向に行き、タスク管理自体に嫌気がさしてしまう結果になりがちだ。

タスク管理が順調に進めば、結果的に、仕事がうまく回ることによって、さらに意欲が増し、いままで気にかかってはいたが、取り掛かれなかった仕事に取り組めるようになるかもしれない。
また、いつも頭にひっかかっていたことが紙やツールに吐き出せるので、イライラしなくなり、周りの人との人間関係も改善するかもしれない。

だが、それはあくまでも結果であり、可能性だ。
タスク管理を導入したからといって、急に生産性があがるわけではなく、集中できる時間が伸びるわけでもなく、電話や急な依頼などの割り込みがなくなるわけでもない。

なぜそのタスクがこなせなかったのか、週次のレビューで、原因を具体的に考えることが必要だ。

「ガンバる」「集中する」「長時間働く」以外の答を見つける、特に、タスクの設定自体が適切でなかったのではないか、と考えてみよう。

ガンバれない、すぐに気が散る、1時間もやるとうんざりしてくる、「ダメな自分」から出発し、それでも仕事をこなすにはどうしたらよいか、スモールステップを踏んで、少しずつ改善していくしかない。

1日、または、一定期間に設定すべき適切なタスクの質・量をみつけることができるようになれば、小さな達成感を少しずつ味わうことで、「ダメな自分」から脱却できる。

そうなれば、仕事のムダをなくし、効率化するという、タスク管理のメリットを十分に享受できることだろう。


メンタルサポートろうむ代表
社会保険労務士/産業カウンセラー/ハラスメント防止コンサルタント/女性活躍推進アドバイザー
李怜香(り れいか)

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