各社で年末調整事務が行われる11〜12月。年末調整の担当社員の元には「国民年金保険料控除証明書」という添付書類を提出してきた社員がいたかもしれない。皆さんは「国民年金保険料控除証明書」に記載されている内容を正しく理解し、年末調整事務を適切に行うことができているであろうか。
年末調整と「国民年金保険料控除証明書」の仕組み

中途採用者が提出する「控除証明書」

国民年金保険料と企業活動とには、直接的な関係性は存在しない。しかしながら、雇用する社員が国民年金保険料を納めた実績があるのであれば、企業が実施する年末調整の際、添付書類として国民年金保険料控除証明書という書類が提出されることがある。

国民年金保険料控除証明書とは、国民年金の第1号被保険者の保険料納付額を証明する書類であり、毎年11月の初めに日本年金機構から本人宛に郵送されてくる。国民年金保険料は、所得税の社会保険料控除の対象になっており、会社勤めをする方の社会保険料控除は年末調整手続きにより適用が認められるため、年末調整の用紙にこの証明書が添付されて企業側に提出されるケースも少なくない。

平成29年の11月に届いた証明書には、平成29年1月1日から10月2日までの約9ヵ月の間に納めた国民年金保険料の合計額が「納付済額」として記載されている。たとえば、平成29年1月から9月までの間に会社勤めをしていない時期がある中途採用者の場合には、その間に国民年金保険料を納付していることが多い。この国民年金保険料は年末調整の際、社会保険料控除の対象として申請できるため、年末調整書類にこの証明書が添付されることになる。

また、「納付済額」に加えて「見込額」や「合計額」の記載がある証明書が添付されることもある。10月3日以降に納付される可能性がある国民年金保険料が存在する場合、この証明書には「見込額」としてその金額を併記する仕組みになっているためである。さらに、「見込額」の記載がある場合に限り、「納付済額」と「見込額」を足した額が「合計額」として証明書に記載される。

証明書に記載されている「見込額」は、平成29年の12月末日まで第1号被保険者であった場合に、納付される可能性のある国民年金保険料を示している。そのため、中途採用者がこの証明書を提出してきた場合、入社時期によっては本人が「見込額」に記載されている国民年金保険料を納付しないケースも少なくない。

その場合、年末調整書類に記載されるべき金額は、「見込額」を含んだ額である「合計額」よりも“少ない額”になることがある。「合計額」という言葉の響きから、年末調整書類には「合計額」に記載されている金額をそのまま記入しがちだが、必ずしもそうではないケースもあるので注意したい。

証明書の金額以上の申請も間違いとは言えない

なかには、証明書に記載されている以上の金額を年末調整の提出書類に記入する社員がいるかもしれないが、そのような記入方法は必ずしも間違いとは言えない。平成29年の10月3日以降に“過去の未払いの保険料”をまとめて払った場合などには、10月2日までの納付額が記載されている証明書にはその事実は反映していないが、所得税法上、その保険料も社会保険料控除の対象とでき、年末調整の際に申請ができるためである。

そのような場合には、添付されている証明書と年末調整書類の記載金額が異なることになるが、それでも証明書が無効になることはない。日本年金機構から送られてきた証明書に加え、“過去の未払いの保険料”を納付した証明である「領収証書」も同時に添付することで、税務手続きが可能になるためである。「領収証書」とは、納付書という用紙を使用して金融機関やコンビニエンスストアで国民年金保険料を納めた際に、手元に残る控えのことである。

ただし、“過去の未払いの保険料”をまとめて払ったからといって、証明書記載の金額を修正してはいけない。その証明書は記載額を「厚生労働省年金局事業管理課長」が証明する公的書類である。そのため、社員または事務担当者が手書きで金額を修正した場合、通常は税務書類の添付書類として使用することができなくなるので、十分注意をしたい。

年末調整時の国民年金保険料控除証明書の取り扱いは複雑である。よく確認をして手続きを進めてもらいたい。


コンサルティングハウス プライオ
代表 大須賀信敬
(中小企業診断士・特定社会保険労務士)

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