株式会社スピードM&Aは2020年11月13日、M&Aや事業承継における「コロナ禍での買収意欲の変化」に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年9~10月で、事業の譲受を希望する65名(買い手側)より回答を得た。これにより、コロナ禍での買収意欲の変化や希望業種、予算が明らかとなった。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答

「これまで買収の経験は無い」ものの、約9割が個人M&Aに挑戦したいと考えている

新型コロナウイルス感染症流行のなか、M&Aの譲り受け希望者(個人)の買収意欲に変化はあったのだろうか。

はじめに「買収経験の有無」を尋ねたところ、「あり」が11%だったのに対し、「なし」との回答は約9割の89%におよんだ。これまで経験のないことに挑戦しようとする、ビジネスパーソンの意向が示される結果となった。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答

買収意欲はコロナ禍で追い風に

次に、「新型コロナの影響により、買収ニーズや買収意欲に変化はあったか」と尋ねると、「低下した」はわずか17%で、反対に「高まった」が54%と半数以上にのぼった。また、「変化なし」は29%となり、合計83%の回答者は、コロナ禍においても買収意欲が落ちていないことが明らかとなった。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答

コロナ前と比較して、買収意欲が増加

続いて、「新型コロナの影響前後で買収意欲はどのように変化したか」を尋ねた。すると、「検討はしていない/やめた」との回答は、コロナ前が12件だったのに対し、コロナ後は3件へと減少。また、「積極的に検討」はプラス9件、「良い案件があれば検討」がプラス3件となり、コロナショックを機に買収検討の動きが強まっていることが判明した。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答

コロナ影響でますます進展した「デジタル関連業界」が人気、その理由は?

次に、「買収したい業種」を尋ねた。結果、最も多かったのは「卸・小売・商社・流通」で46%、次点は「ウェブサイト・ITソフトウェア」の42%だった。この2つの業界を買収したいと考える個人希望者は4割以上となり、人気がある業種のようだ。2位の「ウェブサイト・ITソフトウェア」は、人件費やランニングコストが比較的かからず、コロナ禍で通販などECの売上が大幅に伸びたことで、買収意欲が高まったののではないかと予想される。以下、「製造・メーカー」が34%、「飲食」が23%と続いた。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答

買収予算は「300万円」と「1,000万円」に二極化

最後に、「買収予算」を尋ねると、「300万円」が40%と最も多い結果に。以下、「1,000万円」が37%、「100万円以下」が9%と続き、個人M&Aの買収予算は、300万円から上限1,000万円が一般的な相場のようだ。

スピードM&Aによると、これまで譲渡金額が1,000万円以下となる案件では、M&A専門会社や地方銀行による受託が積極的には起こりにくく、M&Aという選択肢はなかったという。しかし新型コロナの影響で、引退やノンコア事業の解体を検討する経営者もおり、「今後は個人希望者の買収予算と企業の譲渡金額がマッチしやすくなるのではないか」と同社は予測している。
個人M&Aの希望者、半数以上がコロナ禍で買収意欲が「高まった」と回答
現在のM&A案件は、後継者不在のための事業承継や事業整理といった一部譲渡、個人事業の引継ぎなどと、選択肢が広がっている。また、コロナ禍での譲渡価格の下落や金利の低下で融資が受けやすくなるなど、買い手側の条件も変化しつつある。買収や譲渡を考える経営者は、自社の今後を見据え、M&Aの市場動向の把握を始めてみても良いかもしれない。

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