グローバル人材に特化した人材紹介を行うエンワールド・ジャパン株式会社は2020年11月、「コロナ禍における転職のきっかけ」に関する調査結果を発表した。同社サービスの登録者で、外資系または日系グローバル企業で正社員として働く、年収800万円以上のビジネスパーソン1,004名から回答を得た(調査期間:2020年9月30日~10月4日)。これにより、外資系企業と日系企業における、ビジネスパーソンの転職意欲などが明らかとなった。
新型コロナウイルスの感染拡大は転職を考えるきっかけとなるのか。検討理由の上位に「会社の将来への不安」が

およそ3割が具体的な時期を決めて転職を検討

新型コロナウイルス感染症拡大下における、ビジネスパーソンの転職意欲はどのように変化しているのだろうか。はじめに、「現在、転職を考えているか」と尋ねると、「1ヵ月~1年以内に転職したい」の合計が外資系企業・日系企業とも34%となり、およそ3割が1年以内の転職を考えているという結果に。また、外資系・日系企業とも、ほぼ半数の49%が「良い条件の仕事があればいつでも検討したい」と回答した。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表1
「1ヵ月~1年以内に転職したい」または「良い条件の仕事があればいつでも転職を検討したい」とした回答者に、そのきっかけとなったのが「新型コロナの流行」だったかを尋ねると、「はい」と答えたのは外資系企業で14%、日系企業で11%となった。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表2

新型コロナをきっかけに、転職を検討する理由は変わったのか?

ここからは、「新型コロナがきっかけで転職を検討し始めた人」(以下、A)と「新型コロナの流行前から転職を検討していた人」(以下、B)の回答結果を比較する。

まず「転職を考え始めた理由」を尋ねると、Aの第1位は「会社の将来への不安」で46%となり、Bの33%を13ポイント上回った。一方、Aの理由第1位は「キャリアアップ」で54%だった。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表3

転職する上での不安要素とは

続いて、「転職を考える上で不安に感じること」と尋ねると、どちらも最も多かった回答は「現在の年齢」となり、Aが71%、Bが66%となった。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表4
また、転職時の不安として「年齢」をあげた回答者に自身の年代を聞くと、どちらも40代が約4割、50代が約半数で、多数を占めた。40代以降は、年齢を不安視する人が増加する傾向にあるようだ。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表5

転職で実現したいことは「キャリアアップ」と「スキルアップ」

最後に、「転職で実現したいこと」を尋ねたところ、最も多かったのは「キャリアアップ」で、Aは48%、Bは62%という結果だった。

また、AとBの回答差が最も大きくなったのは「業績の伸びている企業で働きたい」で、Aが34%、Bが21%となり、その差は13ポイントだった。
「コロナ禍における転職のきっかけ」の図表6
新型コロナの流行を機に、会社の将来や自身のキャリアに対する不安感が強まり、転職を考えるビジネスパーソンも少なくないことがわかった。人材の流動化が進むなか、優秀な人を確保するためにも、働きやすさや、より強固なビジネス基盤を整えることがより重要となりそうだ。

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