今年に入って、「マイナンバー」という言葉を耳にする機会が増えてきました。『2015年10月から通知開始』と言われていますが、企業はそれに備えて何をしていかなければならないのでしょうか。
本連載では、2015年に行われる個人情報保護法の改正の話とあわせて、企業が取り組んでいかなければならないマイナンバーと個人情報保護制度について、皆さんにお伝えしていきます。
第1回は、マイナンバーとは何か、その背景と導入の大筋をお伝えします。

マイナンバーって何?

マイナンバー(個人番号)は、住民票を有する国民一人一人に通知される12桁の番号で、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)によって規定されています。
 「行政手続における個人の特定の個人を識別する」ための番号であり、行政機関が利用する番号です。

 国民1人1人に番号を付与する構想は1960年代からありましたが、諸々の反対意見で頓挫しました。民主党政権時代の2011年に「社会保障と税の一体改革」の実現のために国民共通番号制度の導入を検討し、「社会保障と税番号大綱」が決定されました。その後、関連法案の提出も行われましたが、2012年の衆議院解散で一旦廃案になりました。

 政権交代を経て、2013年5月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下マイナンバー法)」が成立し、「マイナンバー」の導入が決定しました。

マイナンバーはどう使われるの?

政府広報によれば、「住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。」とされています。
 
 現状では、税金を多く払ってしまったり、必要な額の税金が納められなかったり、必要な福祉が届かなかったり、オーバーな福祉になっていたりと、行政サービスの公平性に欠く事象も見られます。国民に公平なサービスを提供するために管理する目的で、従前より「共通番号制度の必要性」が唱えられており、この法律の制定で制度の導入が決まったのです。

 行政の手続きにはさまざまな添付書類を求められることがありますが、マイナンバーの導入により行政手続が簡素化され、負担が軽減されます。行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関からのサービスやお知らせを受けとったりできるようになるのです。

 具体的には、「社会保障」では年金の資格取得や確認・給付、雇用予見の資格取得や確認・給付、ハローワークの事務、医療保険の保険料徴収、福祉分野の給付、生活保護などが該当します。
 「税」では、税務経局に提出する申告書、届出書、税務当局の内部事務などです。
 「災害対策」では、被災者生活再建支援金の支給などです。

 マイナンバーは行政の効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正は社会を実現する社会基盤となるものなのです。

(出典:内閣官房ホームページより)
第1回 マイナンバーって何? どうやって? いつから?

国民への導入時期

マイナンバーの導入時期は、『2016年1月から』です。
 2016年1月から行政の手続きにマイナンバーを使うことになるので、その前の2015年10月から、マイナンバー「通知カード」が各個人に送付され、全国民にマイナンバーが通知される予定です。
 また2016年1月以降には、「マイナンバーカード」という身分証明書としても利用できるカードを発行してもらうことができます。

 2016年(平成28年)1月からは、社会保障、税、災害対策の行政手続きでマイナンバーが必要になります。すべての手続きで同時に使われ始めるのではなく、納税と労働保険の手続きが2016年(平成28年)1月から先行し、社会保障(健康保険や年金)に関しては1年遅れの2017年(平成29年)にスタートする予定です。
 いずれにせよ、2年のうちにはマイナンバーを利用して行政への手続きをすることが必須になる予定です。

 住民票がある国民全員が使うマイナンバー。「行政でつかわれるのだから、企業は関係ない」のかというと、実はそうではありません。給与を支払っている従業員が一人でもいれば、マイナンバーを取り扱う必要があるからです。この点は、第2回に詳しくお話しします。

まとめると・・・

1.マイナンバーは、住民票のある国民一人一人に通知される12桁の番号
2.マイナンバーは社会保障、税、災害対策の分野で使われる
3.マイナンバーの通知は2015年10月から開始
4.マイナンバーの利用は2016年1月から開始
5.マイナンバーにより、公平・公正な社会の実現、行政の効率化、行政手続の利便性の向上が実現する
6.給与を支払っている従業員がいる企業は、マイナンバーを取り扱う。

(第2回へ続く)

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執筆協力:エヌ・ラボ株式会社 代表取締役 中島啓吾
NTT、野村総合研究所、モバイル関連事業を得て現職。
BtoBの売上拡大のためのコンサルティング、クラウドサービスの企画、内部統制構築など、ビジネス・企画支援を行う傍ら、社会保険労務士としてマイナンバー、セキュリティの支援も行う。
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