SAPジャパン株式会社 ソリューション本部 人事・人財ソリューションズ Director 南 和気氏
 三井化学株式会社 執行役員 人事部長 市村 彰浩氏


 SAPは、経営課題に応える人事ソリューションを提供することで企業の成長を支援している世界最大手ERP(統合基幹業務システム)ベンダーです。SAPジャパンで人事・人財戦略のコンサルティングおよびIT活用の提言を推進している南氏を聞き手とし、いま、多くの日本企業が課題とするグローバル人事戦略において先進的な取り組みを行っている企業に聞くインタビューを2回にわたってお届けします。
 第1回の今回は、三井化学の執行役員人事部長、市村彰浩氏をゲストにお招きし、同社が展開するグローバル人事マネジメントの仕組みや考え方などについてお話をうかがいました。
第33回 ~SAPジャパン 南 和気氏が聞く~
南 まず、三井化学が取り組まれているグローバル化についてお聞かせください。

市村 当社の場合、海外生産に必要となる素材を供給させていただくために自らもグローバル化を進めてきました。お客様について海外に出ていった形ですが、現在は、国内のお客様についていくビジネスモデルから、自分たちの素材を海外の現地マーケット、現地コンシューマーに自ら供給していくビジネスモデルへシフトしようとしています。今後はグローバル展開をさらにもう一段進めることが経営的に必要となっており、人事面でもサポートの強化が急がれる状況です。
第33回 ~SAPジャパン 南 和気氏が聞く~
海外売上高比率は、12年度は42%ですが、海外拠点の増設計画が複数進捗しており、今後確実に高まります。地域別の拠点は中国をはじめとするアジアが圧倒的に多いが、ほかにも、国内自動車メーカー各社が進出しているブラジルでサイトを立ち上げました。また、機能材のビジネスでは、ドイツ企業からグローバルに展開している歯科材料事業の大型買収を進めています。これにより欧米を含めた海外展開が一気に加速することになります。
第33回 ~SAPジャパン 南 和気氏が聞く~
南 そのようなグローバル展開を推進されるための人材戦略を、どのように進めておられますか。

市村 世界各地に従業員が増えていくなかで、その心をひとつにまとめる中核的な価値観として、昨年、当社グループは「コアバリュー」を定めました。チャレンジ(挑戦)、ダイバーシティ(多様性)、ワンチーム(一致団結)という3つです。特にダイバーシティは、性別や国籍などにかかわりなくフェアに扱うということもありますが、個性も背景も育ちも各々違う個人をリスペクトするということが根っこにあります。これは我々の人材マネジメントのポリシーそのもので、我々としてはグローバルHRの推進を加速するモメンタムになると考えています。会社からコアバリューを押しつけるようなことは敢えてしていないが、人事としては、研修でセッションを設けるなど、折に触れてコアバリューの浸透を図っています。
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