前回のコラムでは、「名ばかり管理職」問題を取り上げ、「本当の管理職」になる要件や、「本当の管理職」にも支払わなくてはいけない手当(深夜手当)などについて説明した。
 「名ばかり管理職」以外にも、給与計算で間違いやすいポイントはいくつもある。

 今回は、そういった間違いやすいポイントをクイズ形式で3つ紹介したいと思う。

残業代は何分単位で計算しなくてはいけないか

Q1:1日15分未満の残業は集計しなくてよい。〇か×か?
A:×


労働時間は毎日「1分単位」で正確に把握しなくてはいけないことになっている。
しかし、事務処理効率化のため、割増賃金を計算する際には、以下の簡素化は認められている。
□1か月の時間外(残業)労働時間合計の端数処理
・30分未満 → 切り捨て
・30分以上 → 1時間に切り上げ

【例】1か月の残業(時間外・休日・深夜)時間
それぞれの合計が・・・
・1時間29分のとき → 1時間
・1時間31分のとき → 2時間

残業代計算の元にする「1時間あたりの賃金額」とは?

Q2:月給者の残業代を計算するとき、その計算の元とする「1時間あたりの賃金額」は、
      基本給を1か月の平均所定労働時間で割って求める。〇か×か?
A:×


 基本給だけではなく、毎月支払われる「手当」も含んだものを「1か月の平均所定労働時間」で割って求める。
下記で挙げる「手当」だけは除いていいと法律で決められているが、それ以外の手当(たとえば「役職手当」「営業手当」など)については、「基本給」に足さなくてはいけない。

<割増賃金の計算から除外される賃金>
(1)家族手当
 (扶養家族数によって支給されるものに限る。)
(2)通勤手当
 (通勤距離や定期代等の額によって支給されるものに限る。)
(3)別居手当
(4)子女教育手当
(5)住宅手当
(6)臨時に支払われた賃金
(7)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
※家族手当と住宅手当に関しては、家族数や住宅の種類などによって変動するものが除外される。全員一律で支払われている場合は、除外されない。

休日・深夜割増について

Q3:所定労働時間が9:00~18:00と設定されている会社で、週1日の休日として設定されている
      日曜日に9:00~20:00に働いた場合、
(1) 9:00~18:00の残業
(2) 18:00~20:00の残業 はそれぞれ何割増しになるか?
A:(1)(2)とも、35%増しになる。


 時間外・休日・深夜労働の割増率は下記の表のようになっている。
第3回 間違いやすい給与計算のポイント(2)
  そのため、たとえば月曜日に18:00~22:00まで残業した場合は、「時間外労働」として25%、22:00~24:00まで残業した場合は、「所定外+深夜」ということで、50%の割増賃金になる。
 しかし、「休日労働」には、「所定外」という概念はないので、18:00を過ぎても、18:00までと変わらず「35%」なので注意が必要だ。
 ただし「休日労働」にも「深夜」の概念はあるので、日曜日の22:00~24:00に残業した場合は、60%の割増になる。

まとめ

  Q1・Q3の問題は、長く給与計算をされている人には簡単だったかもしれないが、「引き継ぎのときにそう教えてもらっただけで、法律がどうなっているかは知らなかった」という状態の人も多いはずだ。
 また、本来、給与計算担当者をチェックする立場にいる上長のなかには、実務から離れている人もいるだろう。そういう人にとっては、今回の問題は難しく感じられたかもしれない。
実際実務を行っていなくても、チェックする立場なら、是非、法律のポイントは押さえておきたい。また、担当者に必要な知識があるのか判断し、誤った給与計算をしないよう指導することも不可欠だ。

自身の知識をブラッシュアップしたり、給与担当者が本当にしっかりとした知識を持って日々の業務に当たっているのかチェックしたりするために、「給与計算実務能力検定試験」がある。ぜひ、上手に活用してもらいたい。
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