メンバーが目標に本気になってこそ、自律的な行動が期待できます。
しかし、「上から押し付けられた目標」「どうせ無理な形だけの目標」となっていては、最初からトーンダウン・・・。自律型の人材になることは期待できません。
では、目標を本気にさせるためにまず行なうべきことはなんなのでしょうか?
それは、部門や自チームの方針をメンバーに徹底的に理解してもらうことです。その上で、「自チームの方針を実現するために、あなたには~を期待している」と明確に伝えることです。その期待にメンバーの目標を関連付けて伝えることで、目標に「意味」が吹き込まれます。

ただ、メンバークラスの社員に「部門の方針は?」「チームの方針は?」と質問して、すぐに答えられる人はあまり多くないのが実情です。
そもそも、我々上司自身が部門の方針を理解しているのか?皆さんはどうでしょうか?
すぐに部門の方針を言えますか?

我々が理解していなければ、当然メンバーは理解できません。
それどころか、我々が「上から目標が降りてきた、だからやらなくてはならない」と受け身の発言をしてしまえば、もちろんメンバーはやらされ意識になります。

まず最初にやるべきことは、我々が会社や部門の方針を徹底理解する事です。分からない点は上層部に質問してください。その上で、メンバーが分かりやすいように「翻訳」する事が必要です。翻訳し、噛み砕いて伝えることで、メンバーが始めて方針を理解できます。
また、自チームの方針は「私はこれをやりたい!」「これが、チームの方針だ、是非やっていこう!」と熱く語ってください。

このような事は、頭では分かっているはずです。
そして、これはマネジャーとして必須の行為であり、経営者はこれを我々上司に期待しています。
しかし、多くの企業様(特に経営者)が当社(ジェック)に「マネジャーが方針を噛み砕いて伝えられるようにして欲しい」とご要望されるところを見ると、なかなかできていないが現状のようです。

メンバーに「私の目標は意味がある」「会社に貢献している」と感じてもらい、自律的な行動を行なってもらいたいのであれば、まず会社・部門の方針を噛み砕き、翻訳して一人一人に膝を突き合わせて話しましょう。そして、それを行なっていく上で、チームとして何を行なうか、一人一人のメンバーに何を期待しているかを、時間を取ってじっくり伝えましょう。

それから一人一人の目標の話をする事が、目標を本気にさせる大前提です。

ただ、目標に対して最初から本気になるのもなかなか難い・・・。
例えば営業職であれば、多くは上から「今期は○○円を達成せよ」と指示が下りてきます。その段階で、「よし、やるぞ!」となる人は極少数。「えー・・そんなにできるかな・・」と言う人の方が多いのが現実です。

そこで、期初の上司とメンバーの対話が非常に重要になってきます。
多くの企業は「目標管理」を行なっており、期初に上司とメンバーでその期の目標について面談する機会を設けています。
しかし、多くの場合はメンバーが書いたシートを確認し、それに対して上司が意見を言い、修正させて終了。「決まっているから面談している」という感が否めません。

期初の目標についての面談で重要なのは、目標達成のために、どのような事を行なっていくかをメンバーと上司で一緒にアイデアを出し合うことです。
先ほど申し上げたとおり、目標を提示されただけで本気になるメンバーは少ない。その目標に対して「ああでもない、こうでもない」とアイデアを考えることで、段々と「できるかもしれない・・・」「できそうだ」「達成するぞ!」と徐々に本気になっていくのです。

受験をする子供で考えてみてください。最初は、「受験なんて面倒くさい」「勉強なんて嫌だ」と言う子供も多い。しかし、色々な問題を「ああでもない、こうでもない」と考え、友達同士で教えあい、徐々にやる気が生まれ、最後には「○○高校に合格したい!」と本気になっている姿がありますよね。

ですから、期初の話し合いは、メンバーと上司で「ああでもない、こうでもない」と目標を達成するためのアイデアを一緒になって考えることが大切なのです。
ただ、その際にどうしても上司が一方的に教えすぎてしまう嫌いがあります。「これについては~をやって。あと、○○社は、6月が勝負だぞ、5月くらいから動けよ。さらに・・・」とともすると押し付けになっている面談も多く見られます。

これでは、「あー、また上司から色々と指示されているよ。面倒くさいな・・・」という気持ちをどんどん増幅するだけです。
ここは、メンバーの底力を信じてみませんか?こちらが色々と教えなくても、自分でアイデアを生み出す力があるはずです。そもそも、「メンバーは自分でアイデアを出せる」「自分の考えで動ける」と信じていないと、自律型のメンバーなど育てられません。
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