先の設問の回答傾向から言えるのは、多くの新入社員は「真の協調」を求めているし、「その重要性は理解している」ということです。
ただ、それが「実践される」かどうかはどうやら別問題で、実際、多くの先輩社員は近年の新入社員の協調性に疑問を持つ場面に遭遇しています。

・社内では挨拶をするが、社外でばったり会ったときは無視。理由を後日、聞くと「社外でしたから」とこともなげに言う。
・新人歓迎会が解散した途端、速攻でその場から立ち去った。お礼を言う間もないのか?
・相手のちょっとしたミスを妙に攻める。そのくせ、自分が間違ったときは、「言われたとおりにやりました」等と言って、自分の非を認めない。
・「相手の立場になって考えろ」というと、「その立場になったことがないので、わかりません」と言う。
 
想像力がないというのか、気配りができないというのか。

このように、立場の違いを乗り越えて物事を考える、相手の立場を想像して配慮するというようなことには、妙に慣れていない若者が増えてきました。

また、「自分がどう見られているのか」ということに異常に関心が高い若者も増えています。
そのような人は、

・人の意見に「ああ、私も」などとすぐに乗り、個別の意見は言わない。
・若干、自己卑下的に「私って、○○なんです」「こういうキャラなんで」等と規定して防衛線を貼る。
・「ほめられると、育つタイプです」等と認められることを第一に主張する。承認欲求が強い割には、仕事はできないので、ほめる場面は少ない。

等の行動傾向があります。

両者の共通点は、「保身」や「対人不安」ではないかと思います。
対人不安ゆえに、自分の立場を守ろうと必死になったり、相手との接点を多くしようとは考えなかったり、あるいは保身のために過剰に自分を擁護したりもします。
人と比較しない「オンリーワン思考」も同様で、比較しなければ優劣は付きませんから、自分の今の状況を守れると考えるのです。

「真の協調」のためには、意見を言い合ったり、認め合ったり、苦労を共にすることが必要ですが、このような思考では、なかなかそこに至りません。
この事象に適切な処方箋は思いつかないのですが、「過剰なほど関与して、とにかく業績を出させる」というのがおおよその方向ではないかと思います。
そして、成功体験を一緒に積み重ねることこそが、協調性やお互いの仕事、考え方を知る数少ないチャンスになるのではないでしょうか。
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