三菱東京UFJリサーチ&コンサルティングの調査でも「(女性では)「絶対に共働きが良い」は14.1%と、前年度(17.3%)と比べ水準は低下しており、ここでも就労に対する熱意はあまり強くないことがみてとれる」との報告があります。
もちろん「共働き希望」は「絶対にと共働きが良い」「できれば共働きが良い」を合わせると、59%であり、6割が共働きを希望はしてはいるのですが、これは経済的理由が主要因ということでしょうか。

総括ですが、全般的に私生活を重視し、その「私生活を充実させるための仕事」という位置づけで考えている若手が増えてきているように思われます。数々のデータもそのことを裏付けています。

そのため、
「若手社員に仕事の楽しみや、やりがいを感じさせる」
「とにかくやり切る体験が重要だから、その仕事の意義をしっかり伝え、やり切らせよう」
「企業理念を売り込んで、会社に惚れさせよう」
等ということを私たちは考えがちですが、おそらくこれだけではうまくいきません。1年前までは私もそういうやり方がベストだと思っていました。
他に方法も思いつきませんし、私たちの世代は「とにかくやれ」と言われてやっているうちに仕事の面白さや、やりがいを見出してきましたので、他に解決策を見い出せなかったのです。

もちろん、従来通りの育成で十分に能力を発揮する群もいることはいます。
でも、それは新卒全体の2~3割程度になっているように感じます。
その層でも、放っておくと自滅する可能性が高いので、こまめに状況を確認する必要はあります。

その他の7~8割の新人に対しては、「自らのメリット」を感じさせることを重点に置くべきだと考えます。
「自分本位」の思考をもっていますから、仕事をさせようと思ったら、彼らのメリットになるということがわかるようにするのが重要なのだと思います。
ただ仕事というのは、地道な作業の繰り返しであることが多いもの。
ゴールに至った状態は、彼等のメリットに合致していてもその過程はそうは思えません。
この場合には細かく達成の指標を作ることがポイントになります。
RPGではありませんが、「○○のレベルが1上がった」というような感じで一つずつ進んでいることをイメージさせるのです。
そして、絶えず本人のメリットにつなげて「今、半分まで来た」と進捗を確認させることです。

「そのままでは、創造的な人材にならないのでは?」との疑問が出るかもしれません。
私は、仕事が自律的にできることをまずは目指し、その後に創造的な部分を伸ばしていくので良いと思います。
彼らは、自分本位ではありますが、「利他の精神」も持ち合わせています。
3.11の震災以降の流れで、社会貢献に対する意識は各段に高くなっています。
自分の仕事が、どう他者に役に立っているのか、そこを見せることで自分本位ながらも、全体に貢献していく意識を形成することは可能だと思います。
(もちろん、早い段階から目の前の仕事の社会的意義を感じさせることも有用)

まとめ
・フォロー研修は時期によって目的もやり方も変える
・その年ならではの要素も盛り込む
・大上段に理念や建前、常識を訴えるより、「新入社員にとってのメリット」で仕事に誘導する
・今年の新入社員は、「自己本位」な傾向が目立つが一方で、「利他の精神」も持っている
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