「やることをちゃんとやっていても、職場での不安感はなくならない」と考えてしまう、そんな時代に育った新入社員だからこそ、きちんと考えて欲しいこと、周りがして欲しいことがあります。

それは、正しい能力観であり、正しい自分観です。

「自分に自信を持つ」とは、自分自身にできることがあり、これから様々なことを習得してさらにできることを増やすことができ、世の中のために立つことができる、という実感から生まれるものだと思います。「自己効力感」という心理学の用語があります。これは、
「自分は他人に対して何かしら”する”ことができる、”してあげる”ことができると感じる感情」
という意味ですが、これがまずは必要なのだと思います。
いかに「自己効力感」を持たせることができるか、それが企業の中で「きちんとやっておれば、不安はない」と思うための第一条件です。
そのためには、上司や周りは単にほめるだけではなく、「○○さんがこうしてくれるから、楽になったよ」というような「感謝の言葉」も言う必要があります。

そのうえで、「自分のできることをやりきる」ということを意識させることが必要です。
今年度の新入社員を見ていると、やや観念性の高い人が目につきました。
観念性が強い人とは、「足元を見据えないで、評論家のようにふるまう」人です。
「意味が分からないことは、やり続けない」「取りあえずその場だけ合わせておけばよい」と考えているためか、行動が継続しない、周りがやっていないとすぐやらなくなる、自分も組織の一員として組織を盛り上げていく人であるという認識はなく、合わせるだけという人を多く見てきました。
「やり続けるからこそ、意味がわかり、能力が身につく」のですが、どうも自分は「もっとできる人」「やればできる人」と考えて現実には行動しない人が多いように感じられます。
まずは、「やるべきことをきちんとやりきる人」という信頼感を持ってもらうことが重要です。

土光敏夫は「経営の行動指針」の中で、「お互いに約束事は完全に遂行する。それによって、お互い気兼ねや猜疑心を取り除いていく。そうするとお互いに批判し合ったり助け合ったりできるようになる」と書いています。
さらに、信頼される人になるために、次の5つの視点を上げています。

1.相手の立場になって物を考える。
2.約束をきちんと守る。
3.言うことと行うことを一致させる。
4.結果をこまめに連絡する。
5.相手のミスを積極的にカバーする。

やるべきことをきちんとやることが、組織ではまず必要で正しく、自分を見つめて、できることをやりきる、その習慣が大事なのだと思います。
そのうえで、このような5つの視点で取り組むことで「職場での不安感は消えていくもの」ではないでしょうか。
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