「自分のやることをちゃんとやっていれば、職場での不安感はたいてい消えていくものだ」
という設問の新入社員の回答傾向は、次のようになっています。

そう思う   55.0%
わからない  12.1%
そう思わない 32.9%
普通に考えると、「ちゃんと、やることやっていれば、大丈夫なんじゃないか」と考えそうですが、3割以上の新入社員が、「ちゃんとやっていても、不安」ではないかと思っているようです。この傾向、グラフにすると次のようになっていて、「不安を感じる人々」が徐々に増えているようなのです。
毎度の比較ですが、一部上場企業の20代後半~30代後半の「指導員」と呼ばれる新入社員を指導する人たち(63人)の回答傾向では、

「そう思う」は63.5%、
「そう思わない」は34.9%あります。
「わからない」
と答える人がほとんどいない分、不安感を感じている人も多いようです。

もしかすると、規則さえ、きちんと守っていても不安になる時代になりつつあるのでしょうか。

弊社の新入社員研修では、「規則と規律」というレクチャーをするときに、規則を「規則は明文化されたもので、それさえ守っていれば、大丈夫というもの。
だから、就業規則をきちんと守っていれば、社員としての身分は保証される」というようなことを伝えます。一方、規律は「規則は明文化されているが、規律はその守り方なので、明確ではない。
その職場の暗黙のルールのようなもので、入社してから確認」するように伝えます。
例として、「就業規則では、9時~17時が勤務時間。
でも、職場によっては、8時40分にはみんな来て、ミーティングを始めているところもあるし、24時間稼働しているところだと、引継ぎで早目に来るのは当たり前になっていたりする。それが、規律」というように話をしています。

つまりは、ルールを守って真面目に仕事をしていれば、会社はあなたを守りますよ、ということなのですが、この「安心感」に対する期待度が落ちてきているということだと思われます。
大胆な人員削減や工場・事業所の撤退など、働く場を奪われるというニュースを頻繁に見聞きする時代です。本人の行動に起因することなく、経済の大きな流れの中で自分の職場がなくなっていく、そんな情報が多数インプットされていれば、このような回答傾向になることは、仕方ないのかもしれません。

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