ターゲット校設定が減ったのは大手以外

では、その背景にあるのはなんでしょうか。設定している企業の割合を企業規模別に見てみましょう。回答企業を「300名以下」「301~1000名以下」「1001名以上」の3区分に分けてみると、「300名以下」37%、「301~1000名以下」48%、「1001名以上」55%と、企業規模により傾向が異なる結果が浮かび上がって来ます[図表2]。
第35回 採用担当者を対象とした、新卒採用動向調査の結果
前回(2014年卒)の調査では、「300名以下」47%、「301~1000名以下」57%、「1001名以上」54%となっており、「1001名以上」の大企業では減少していない(というよりも微増)のに対して、それ以外の中小・中堅企業で大きく設定率が減少しているのがわかります。

 中小・中堅企業で大きく設定率が減少したのには三つの訳があります。一つは、景気回復基調から各企業の採用意欲が向上し、昨年に比べて採用計画数の増加が予測されること。企業側の採用計画が膨れ上がれば、需給バランスからして企業側の学生争奪戦が激しくなり、昨年以上に採用には苦労することになります。
 二つ目には、学生の大手企業志向が再燃していることです。ここ数年、景気の低迷から大手企業の採用数はリーマン・ショック以前と比べるとかなり減ってきており、必然的に学生は中堅・中小企業にも目を向けざるを得なかったわけです。ところが、円安・株高基調の中、企業の経営状況は大幅に改善してきており、最高益を更新する企業も少なくありません。ただでさえ需給バランスの悪化が予測される中、さらに学生の大手企業志向が復活するとなると、中堅・中小企業側(大手企業の中にもB to B企業や不人気業界などは、採用の苦戦が予想されるのですが)の条件はさらに厳しいものになります。
 三つ目には、昨年の採用活動の反省があります。昨年は、4月1日には内々定をもらう学生が続出するなど、大手企業の採用選考活動の早期化・短期化が指摘されましたが、中堅・中小企業の選考活動もそれまでと比べるとかなり早いものでした。4月後半に採用選考のピークを持ってきた企業も多かったようです。結果的に大手企業と選考時期や選考学生がバッティングし、選考辞退や内定辞退を数多く招く結果となってしまったわけです。

 これらのことに鑑み、中堅・中小企業ではターゲット校設定の見直しをした企業が多かったと推測できます。ただ、中堅・中小企業におけるターゲット校は、必ずしも多くの大手企業がするように入試偏差値ランキングを基に設定されているわけではありません。地元の大学であるとか、OB/OGが多いなどの理由によるところも多いでしょう。今回、ターゲット校設定を見直した企業の多くは、大手企業のように入試偏差値ランキングをもとに大学を設定していた企業群に多かったのではないかと推測しています。

国公立大偏重主義の大手メーカー

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