年度計画を立て、計画的に採用する

繁忙期が目前に迫ってから、あわてて採用に動き出す会社も少なくありません。“人余り”の時代であれば、直前で求人広告を掲載しても採用が見込めたかもしれません。一方、なかなか人が集まらない“人手不足”の時代はそれが通用しません。

繁忙期の前から余裕をもって採用に臨むのはもちろん、年度計画などをしっかりと立て、採用しやすい時期を狙って採用する姿勢が今まで以上に大切です。
第11回 人手不足の時代、2014年の人事・採用担当者に求められる視点とは?
業種にもよりますが、1年間の有効求人倍率は、一般的には12~3月頃、8月頃に比較的高くなる傾向にあります。逆に、低めなのが4~7月。このタイミングで募集を出すことがリスクの軽減につながります。そこで、スタッフ数をあらかじめ多く揃えておき、時期によって一人ひとりの働く時間を調整してみるのはいかがでしょうか。こういうと、「4~7月は、それほど多くのスタッフを必要としないのですが……」という声も聞こえてきそうです。確かに、同じ“400時間”でも、20人×20時間より40人×10時間の方が非効率に見えます。

実際、法定福利費やその他諸費用(ロッカー、制服など)を鑑みると、人1単位にかかるコストの方が、時間1単位にかかるコストよりも高いため、コストの観点からは合理的な感覚だといえます。

しかし、景気が上昇する局面では、こうしたコスト以上に、“人が集まらないこと”で失う機会損失・売上毀損の方が高くつきます。「今いる従業員で精一杯頑張り、本当に人が足りなくなってから採用する」と考えがちですが、「もし従業員がもっといたら、どれくらい売上が上がっていたのか?」と、機会損失や売上毀損について常に意識することが大切です。

採用だけでなく、今いるスタッフに目を向ける

第11回 人手不足の時代、2014年の人事・採用担当者に求められる視点とは?
前述したように、“人手不足”の時代では従業員1人を失うコストが高くつくため、スタッフの離職は致命傷です。採用だけではなく、現状の従業員にこそ目を向けて、離職を防止する工夫が大切です。

特に近年は、アルバイト・パートが基幹的な業務を担うことも珍しくありません。「パート店長」などは顕著な例です。こうした状況下では、離職防止に加えてスタッフのポテンシャルを最大限に引き出すような打ち手が求められます。

では、今いるスタッフにイキイキと働いてもらうにはどうすればいいのでしょうか?

「anレポート」の調査でも、スタッフの離職原因は上司(店長)や同僚などとの人間関係によるところが大きいとわかっています。ただ、企業や店舗によって、トラブルを引き起こす要因はまちまちです。

そこで、スタッフにアンケートを取るなどして、まずは従業員の本音を聞いてみましょう。これも奇策ではないですが、実際に実施している企業は少ないのが実情ではないでしょうか。

●社内アンケートの具体例
  ・なぜこの企業で働いているのか?
  ・現在の人間関係はどうか?
  ・今後働く上で、何があったらいいと思うか?
  ・職場環境がどうなったら働きやすいか? など

「なぜこの企業で働いているのか?」という問いでは、「給与の待遇がいいから」「シフト融通が利くから」「週5日働けて、安定的な収入が得られるから」などの回答から、彼らが自社で働く動機が浮かび上がるでしょう。そこから、自社の強みやスタッフの求めていることも読み解くことができます。

また、「今後働く上で、何があったらいいと思うか?」「職場環境がどうなったら働きやすいか?」などの問いからは、採用以上に取り組むべき、投資すべき対象が見えてくるはずです。

人と機械・仕組の適材適所を実現する

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