「上司」になる前は毎日お客様と会い、時には苦言も言われて「市場の声」を自然に耳にしますが、「上司」になってマネジメントに専念するようになると、途端に市場から距離ができてしまう人がいます。
それが数年続くと、市場と感覚がズレてくる・・・。
前回のブログで、このような上司の事を「化石上司」としてご紹介しました。


化石上司になってしまうと、指示やアドバイスが的確ではなくなってきます。
自分が市場に出ていた頃の「古い」感覚で話をしてしまうからです。
メンバーは、「ちょっと違うんだけどなー」と感じていますが、率直にそれを指摘するケースは少ない。
そのため、当の本人は、ズレていることに気づきません。
メンバーは、聞いているフリをしますが、実は「この人の言っていることは、ほとんど参考にならない」と心の中で思っている・・・。


このような恐ろしい状況にならないために、上司として持たなくてはならない考え方があります。
それは、「自分より、メンバーの方が市場の事を良く知っている」ということです。
この当たり前の考え方を認められない上司が多いのです。
それどころか、「メンバーは、市場の事を分かっていない。私は分かっている」と考えている上司も多いのが現実です。


今日から「自分より、メンバーの方が市場の事を良く知っている」という考えを持ちましょう。
このような考えを持てば、おのずと上司としての行動が決まります。
それは、「市場を知っている、メンバーに、市場の事を教えてもらう」と言うことです。
メンバーに「教えてもらう」という感覚に、少しでも抵抗を感じる人は化石上司になりかけています。
素直に教えてもらうのです。
私はメンバークラスに対する研修でこう言っています。
「皆さんは、上司を教育する責任がある」と。
上司に市場の情報を提供し、正確な判断ができるようにすることが、メンバーの責任であるという意味です。


例えば、自分の方からメンバーに声をかけ、「今日○○商事様に訪問したんだよね。最近○○商事様の担当者は、どんなことに興味ありそう?」「△△不動産様は、最近調子いいみたいだけど、どんな状況なの?」と、積極的にヒアリングしていますか?
日報を見たり、会議での発言で「おっ?」と思った市場の変化には、自分からメンバーに働きかけて情報をキャッチする、つまり「教えてもらう」ことが必須です。
メンバーから自主的な報告がないことを「市場の情報が入ってこない」原因にする上司もいますが、それは言い訳です。
メンバーは、全ての情報を事細かに上司に報告をすることはしません。
皆さんも、メンバーだった頃、全てを報告しませんでしたでしょう?


「メンバーの方が、市場を知っている」
「メンバーに市場を教えてもらう」


この感覚を持ったときに、メンバーは「この上司は、私たちの目線で仕事をしている」と感じ、色々な報告をしてくるようになるものです。
化石上司には、報告は上がってきませんよ。
なぜなら、「自分の方が分かっている」という人に情報をあげても、けなされるだけですから。
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