■実施企業が大幅に増える2015年卒向けインターンシップ

2015年卒採用を視野に入れた、現3年生を対象とするインターンシップの実施予定を聞いたところ、全体では22%の企業が「2014年度向けはやったから、2015年度向けもやる予定」と回答し、「2014年度向けはやらなかったが、2015年度向けはやる予定」とする企業が7%もあります。「2014年度向けはやったが、2015年度向けはやらない予定」はわずかに1%あるだけですから、2015年卒向けのインターンシップ実施企業は増加の一途にあると言えます。
2016年卒向けからの採用スケジュール後ろ倒しでは、インターンシップによる学生との早期接触機会の増大を挙げる企業が多かったわけですが、2015年卒から実験的に導入する企業もあると思われます。1001名以上の大企業に限ると、「2014年度向けはやったから、2015年度向けもやる予定」は33%あり、「2014年度向けはやらなかったが、2015年度向けはやる予定」とする企業の7%と合わせて、4割の企業がインターンシップを実施するとしています[図表3]。
第28回 3月の解禁日前に何をし、8月選考開始に向けてどう動くか
では、どんなタイプのインターンシップを予定しているのでしょうか。最も多いのは、「2週間程度のインターンシップ」で27%、次いで「1週間程度のインターンシップ」16%と、経団連の倫理憲章に沿った内容が上位に来ています。ただ、その次には、「1日程度のインターンシップ」12%、「2~3日程度のインターンシップ」10%と、短期のインターンシップも依然として多く開催されるようです[図表4]。
第28回 3月の解禁日前に何をし、8月選考開始に向けてどう動くか

■学生が望むのは選考・内定につながるインターンシップ

インターンシップに対する学生の志向を探るべく、以下の二つの質問をしてみました。
まず「選考・内定につながる可能性のあるインターンシップに参加したいと思うか」です。文系学生の77%、理系学生の75%が「参加したい」と答え、「参加したくない」とした学生はそれぞれ4%と5%に過ぎませんでした[図表5]。インターンシップをキャリア教育の一環としてというよりも、就職活動の一環として考えたい学生が大半だということです。
第28回 3月の解禁日前に何をし、8月選考開始に向けてどう動くか
選考直結型のインターンシップを実施している企業はまだまだ少ないようですが、通常の面接選考ルートだけでなく、インターンシップからの選考ルートも検討してみてはいかがでしょうか。面接だけでは見落としがちな学生の本質を見極められるだけでなく、学生からも企業を見極める良い機会となるので、ミスマッチの低減にも役立ちます。
 もう一つは、「最も望ましいインターンシップの形態」です。次の選択肢から一つを選んでもらいました。
①有給で数カ月間(週1~2日)の“実際の仕事”を経験できるインターンシップ
②無給で数カ月間(週1~2日)の“実際の仕事”を経験できるインターンシップ
③無給で5~10日間の“職場体験”できるインターンシップ
④無休で半日~1日のワークショップ形式のインターンシップ
結果は、文系、理系ともに、「①有給で数カ月間(週1~2日)の“実際の仕事”を経験できるインターンシップ」がトップで、文系の44%、理系の42%に達しました[図表6]。一つのプロジェクトの流れを体験させる場合には数カ月くらいの期間は必要となりますし、アルバイトをすることを考えれば決して無理なことではないでしょう。企業の中にもこのタイプのインターンシップを前向きに検討する機運は高まっており、今年はこれまで以上にさまざまなタイプのインターンシップが開催されるのではないかと考えています。
第28回 3月の解禁日前に何をし、8月選考開始に向けてどう動くか

■学生に評判の良いインターンシップとは

最後に、インターンシップに参加した学生から評判の良かったインターンシップと、評判の悪かったインターンシップについて紹介します。

【評判の良かったインターンシップの理由】
・社員の方がたくさん来てくださり、プロジェクトに対し本気でフィードバックをしてくださった(青山学院大学・文系)
・業務をしっかりと体験させてもらえ、良い意味でも悪い意味でも入社後のギャップが少なくなると感じたため(香川大学・文系)
・終了後に、管理職クラスの方との懇親会があり、大変有意義だったから(東京大学・文系)
・自分たちのワークに対して、社員の方から的確なフィードバックがあったため(神戸大学・文系)
・社員の一員のように扱っていただき、意見を実際に取り入れてくれた(東京大学・理系)
・少人数だったのでよく面倒を見てもらえた。実際の研究を体験でき、仕事に対してのイメージもわきやすかった(東京理科大学・理系)
・社員の方が仕事をしている横で仕事を体験でき、職場の雰囲気がよく分かった(長岡技術科学大学・理系)
・実際の業務内容を疑似体験でき、どの工程がどんなふうに難しく、どんな場面で葛藤が生じるかなどを分かりやすくイメージできた(明治大学・文系)
・仕事を実際にやることにより、その会社で仕事をやるとは何かを徹底的に考え、感じることができたから(早稲田大学・文系)
・社会人と一緒に自分を見つめ直す機会があったから。優秀な友達と知り合いになり、切磋琢磨できているから(立命館大学・文系)
・長く付き合える友人に出会えたから(上智大学・文系)

 「フィードバックをしてもらえた」「優秀な学生が多く、刺激になった」「実際の業務を体験できた」といった声が多いようです。

【評判の良くなかったインターンシップの理由】
・ただ説明を聞いているだけで、非常に受動的なインターンシップだったため(成城大学・文系)
・体感ゲームで疑似体験という趣旨であったが、ただのゲームをしただけで、会社や業界について詳しく知ることができなかったから(首都大学東京・文系)
・パートと同等の労働をさせられるだけの、学生にとって実りのないものだった(九州工業大学・理系)
・事前に知らされていた内容とまったく違った(京都大学・文系)
・学生だけでグループワークをする時間がほとんどを占め、途中での指導やフィードバックも少なかった。結局、初めから知識があった人が勝つ構図で、疲れた印象しかない(東京大学・文系)
・やりがいより愚痴を聞くことが多かった(琉球大学・文系)
・社員の方のやる気が薄かったから(一橋大学・文系)

 社員の雰囲気の悪さや、グループワークだけでフィードバックがなかったことを挙げる学生が少なくないようです。
ぜひ、今年のインターンシップ運営の参考にしていただければと思います。
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