コンテクスト業務をアウトソーシングする流れが来ている

ムーア氏は、「コンテクスト業務はすべてアウトソーシングしなさい」と主張している。
実際、グローバル企業の多くの、人事部門の要員計画や人件費をワールドワイドで最適化し、同時にアウトソース領域を拡大させており、自社でやるものやらないものを明確に選別している。
現在はというと、人事の業務において、パッケージでもシステムを持ちたくないという会社が増えている。アウトソーサーのクラウドやBPOといったサービスを活用しながら、給与計算のようなコンテクストの業務のシステム自体を社内で持たないという考え方の企業が増えてきた。
弊社の導入事例でも、かつて日本での人事オペレーションは、正社員7名、契約社員9名、総勢16名で行われていた。システムとしては、国産パッケージを使い自社で運用していた。これをグローバル・シェアードサービス化の取り組みによって、結果として日本国内の人員を3名に削減した。人事の役割も、先ほど紹介したように戦略的なものに変わってきた。
このような会社と戦っていかなければならないグローバルな競争環境の中で、日本においても否応なしにこうした流れが来ている。

新たな視点でHR人材を育成すべき

グローバル先進企業の事例から学ぶ人事部門の戦略的変革 クラウド・BPO等の活用による機能変革の考え方
人事部を戦略部門に変えるには、人事部のミッション・機能を再定義する必要がある。自社のビジネスにとって何がベストかを突きつめていくことが、人材マネジメントにとって必要と考える。それは正解のない「特殊解」であり、他の物真似では競争力となる差は生まれない。
自分で手を動かし作業をしていた頃は、業務の専門性や法令・税務の知識、ExcelなどPCスキルなどが必要だが、人事部がコア業務に集中するために、外部のリソースを活用してプロセスを運用していくとなると、新たにプロセス思考力が重要になる。作業をマニュアルに沿って正しく推進していくのではなく、全体のプロセスに従い流れているのかどうかを判断できるプロセス思考のスキル、あるいは何かを変えていく時のプロジェクトマネジメント力、新しいプロセスプランをデザインする力。こうした上流工程を任せられる ハイスキルな人材を開発していく。
大切なのは、人事部が変革に対して強いコミットメントを発揮すること。それが成功に向けての最大のポイントである。

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