「指示待ち族」という言葉は、20年以上前からあると思います。今に始まった話ではありません。
しかし、社会人なら数年経てばできるようになる「自分で考えて、回りの仕事を手伝う」、「先に予測される仕事に着手する」という単純なことがなかなかできないのは、なぜでしょうか?
弊社の意識調査に、「自分のプラスにならないと思う仕事まで見つけてやることは、無意味である」という質問があります。その回答内容を見ると、
そう思う 6.6%
わからない 8.9%
そう思わない 84.5%
と分かれます(2011年新入社員研修の調査結果)。

意識の上では、「仕事は探してやるもの。言われてからやるものではない」ということはわかっているようです。このとおりなら、「指示待ち族」が二割以下のはずですね。
でも、実際は、「言わないとやらない」という新人が多いのは事実です。
ましてや、「自分にプラスにならない仕事まで見つけてやる」ということ意識されていても、現実、できていないことは多いのではないでしょうか?

こうなっているひとつの原因は、業務が複雑化・高度化し、「新人に時間をかけて教えなくても、できるようになる、考えられようになる仕事が少ない」ということもあるでしょう。
この場合の解決策は、「それでも新人ができる仕事を与えよ」「能力を向上させよ」です。

「プラスにならなくてもいいから、仕事を探してやる」というこの設問を考えるとき、もうひとつ別な視点から見ることもできます。
つまり、「そもそも、会社の中に自分のプラスにならない仕事などはない」という考え方です。

先日、あるサービス業の新人指導者から聞いた話です。
その会社では、10人の新入社員を二つのグループに分けて育成しています。まだ勉強期間なので、基本的な仕事を適宜教え、やらせ、確認し・・・ということをやっているさなかで、
・一方のグループは、指示された仕事が終わると、パソコンの画面でニュースを読んでいるという
・もう一方のグループは、仕事が終わると、代表者(特に決まった新人ではない)がやってきて、報告し、「次にやることは何でしょうか?」「時間があるので、○○の勉強をしたいのですが」「お手伝いできることはありませんか?」等、次の仕事を求め、勉強をするというのです。

このように、「やる気」のある新入社員は、「自分の役に立つ」仕事を探してやるわけです。たとえそれが、資料の片付けであろうと、弁当の買出しであろうとも自分の役に立つわけです。
・雑用という仕事はない(すべての仕事に意味がある)
・仕事の報酬は仕事である(できる人、やっている人にしか、仕事は回ってこない)

この二つの考えが理解できていると、行動は大きく変わるのではないでしょうか?
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!