入社志望者に対して、企業の採用担当者が重視する能力の一つに「論理的思考力」があげられます。論理的思考力は、物事を構造的に理解するとともに、問題点を発見して解決するために必要な基本スキルです。採用では、SPIなどのテストを通じてこの力を測っていて、結果が著しく低い場合は足切りを行うほどです。では、面接で真に論理性が高い人材を採用するにはどうすればよいのでしょうか。前回に引き続き、人事の視点から採用面接のやり方について解説します。
「優秀人材」獲得への道~論理性が高い人材を採用するには?【36】

「論理的思考力」とは何なのか

経団連が毎年調査している新卒採用に関するアンケートで、企業が採用にあたって重視する点として最も多くあげられているのが「コミュニケーション力」です。たしかに、コミュニケーション力は社会人にとって基本的なスキルです。しかし、実際の採用現場では、コミュニケーション力の中でも「論理的思考力」や「論理的に説明する力」が重視されているという実感があります。特に理系が中心の企業では、論理的思考力は仕事において不可欠なスキルです。

その反面、「自社に求められる論理的思考力」を正しく理解している採用担当者は多くないと感じます。一口に論理的思考力といっても、問題解決力や構造化する力、説明力など人によって認識が異なるからです。

そもそも論理的思考力とは何なのでしょうか。一般的には「筋道を立てて物事が説明できること」を意味します。筋道が立てられるということは、「なぜそうなるのか」という論拠をつくれることでもあります。最も簡単な論理構造としては、「事実→論拠→主張」があげられます。コンサルティング業界で有名な「空→雨→傘」という構造です。例えば、こうした構造に沿って深く考え、自分で答えを出すことができる力が論理的思考力と言えるでしょう。

一方で、採用の現場で重視されている論理的思考力は、「論理的説明力」だと感じます。抽象的な出来事を論理的に考えて答えを出す論理的な思考力よりも、面接という特性上、説明できる力が重視されるからです。ですが論理的な説明は、先ほどのような構造を理解していれば、ある程度誰でもできるものです。Googleで検索すれば、PREP法やSDS法など、話を論理的に伝えるための構造がすぐに出てきます。こうした論理構造に当てはめて自分自身の経験を説明できれば、面接ではOKとなりますが、本当に仕事で使える論理的思考力を持っているとは言えない可能性があります。

実は「論理的思考力の構造」を「論理的に理解している」採用担当者は、そう多くないのではないでしょうか。

「論理性の高い人材」を見極めるには?

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