166,499件、この数字が何を表すかお分かりになるだろうか。

①広島カープ優勝後のツイート件数
②Facebookへの「いいね!」の件数
③某携帯会社の一月の純増件数。
166,499

100時間から80時間へ

上記の正解は、「どれでもない。」である。
この数字は、最新のデータによると労働基準監督署が1年間に行った調査件数である。昨今、長時間労働(過重労働)の削減は最も重視されているテーマの一つだが、上記の労働基準監督署の調査によると、違反のあった事業所の約3割が労働時間に関するものであった。(数字は「労働基準監督年報」による)

このような状況のなか政府は長時間労働是正に向けての取組を強めている。「厚生労働省 長時間労働削減推進本部」の資料では、重点監督対象を現状の月100時間超の残業時間を有する企業から月80時間超の企業に拡大する方針が示された。さらに、9月27日に「働き方改革実現会議」の初会合があったが、今後とも長時間労働の是正・36協定の在り方が議論される予定だ。
企業は労働時間削減に向け取り組む必要性が出てきている。

労働時間の削減方法は?

では、どのように労働時間を削減していくべきだろうか。
労働時間の削減に取り組み、成功をおさめた企業の例を見てみると一つの共通点を見出すことができる。それは、企業のトップが労働時間削減を最重要課題と考え、トップダウンでこの問題に対応していると
いうことである。

例えば、
◆A社
週1日のノー残業デーの実施。22時以降の残業を禁止し、オフィスのライトを一斉消灯。
◆B社
残業の事前申告。一定時間以降の社内サーバーへの接続、インターネット回線の遮断。


 取り組んだ内容を見ていくと、強権的なやりかたに感じる部分もあるし、従業員の反発もあるかもしれない。しかし、そこまでしなければ労働時間の削減が進まないのが現状なのだ。日本の多くの企業において、「長時間労働=高評価」というような風土が根付いてきた。このような慣習を打破するには、トップダウンで問題(長時間労働削減)に取り組む姿勢が必要だ。

削減に向け動き出したなら、次はそれを制度化していく必要がある。削減の取り組みが一時的で終わってしまったら意味をなさない。また、例外事項をつくり、「今日だけは、、」などど、例外が常態化してはいけない。制度化にあたっては、社員の意見を取り入れるとともに、トップの働き方に関する考え・理念(ビジョン)を社員に明確に伝えていく必要があると考える。

人は押しつけには反発するが、自発的に始めたことは継続する。また、トップの考え・理念が社員全体にいきわたれば、直面している問題(長時間労働)を自分事として考えることができ、労働時間の削減ひいては業務の効率化につながっていく。

長時間労働に対しては、社会的に厳しい目が向けられている。多くの企業で労働時間の削減は、喫緊の、かつ重要な経営課題といえるのでなないか。経営者は、本気で対策を考える時期に来ているだろう。すぐに大きな改善はみられないかもしれないが、断固たる決意で長時間労働問題に向き合ってほしい。


社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭

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