第26回 ゲーム要素でスタッフのやる気倍増!“ゲーミフィケーション”活用法

プロに聞け(提供:インテリジェンス an report)

近年、ディズニーでおなじみのオリエンタルランドや、ANAなどの大手企業が積極的に取り入れている“ゲーミフィケーション”。スタッフが楽しく働ける手法として、熱い注目を集めています。「実は、大企業よりも若手アルバイトスタッフが多い小規模の店舗こそ、ゲーミフィケーションを活用しやすいんです」と教えてくれたのは書籍『ゲームの力が会社を変える』の著者・岡村健右さん。その理由とは!? そもそも、ゲーミフィケーションとは何かということから解説していただきます。

“ゲーミフィケーション”って何だろう?

  一般的な「ゲーミフィケーション」の定義とは、ゲーム以外の分野に“ゲーム的要素”を組み込んで、ユーザーのモチベーションや愛好心を高める手法のことです。

 ゲームの世界では、ミッションをクリアしたり、敵を倒したりすることで、キャラクターのレベルが上がり、新しいスキルを得ることができます。こうした経験から、プレイヤーは自分の成長や進歩を実感して、やりがいや達成感を得られるというわけです。

 そもそも人間は、何かを学んだり、習得したりしたいという欲求を持っています。ついついゲームにハマってしまうのも、その欲求によるものです。

 以上のような“ゲーム的要素”をビジネスに活用することで、スタッフのやる気を引き出し、やりがいを感じてもらおうというのが、働く現場でのゲーミフィケーション。笑顔があふれる職場にしたい、モチベーションを高く持ってもらいたいと考える店長にオススメの手法です。

実は昔から活用されてきたゲーミフィケーション

  近年、企業からの注目が集まっているゲーミフィケーションですが、実はまったく新しい概念というわけではありません。これまでにも、ゲーミフィケーションを積極的にビジネスに取り入れてきた職場は数多くあります。最もポピュラーなのは営業職です。
  このように、報奨を受け取ったり、他者と競ったり、他者から評価されたりすることで営業担当者のやる気を引き出していたんですね。

 もしかしたら、みなさんのお店や会社でも、意識せずに“ゲーム要素”を活用しているかもしれません。例えば……、
  いずれも、スタッフのやる気を引き出す制度として、おなじみのものです。こうしたゲーミフィケーションが、近年になって再び注目されることになった理由は2つあります。

今、改めて注目されている2つの理由

  1つ目は、企業が今までより従業員満足度を高める必要が生じてきたこと。アルバイト市場でも、やりがいや達成感を求める層が増えていますね。企業や店舗はこうしたニーズに応えるために、ゲーミフィケーションに期待を寄せています。

 2つ目はSNSなどのソーシャルメディアの流行です。これによって、従業員満足度を高める上で欠かせない「承認欲求を満たす」ということが手軽に行えるようになったのです。近年大ヒットしている「ソーシャルゲーム」を例にご説明しましょう。

 ソーシャルゲームでは、ユーザーが自分の活躍を多くの人に見てもらえるようになりました。さらに、チームプレイでクリアを目指すため、ユーザー同士の交流も生まれ、ゲームの世界が自分の行動に対して賞賛やフィードバックがもらえる「承認の場」になったのです。

 この仕組みは、ビジネスの現場でも活用できます。例えば、社内SNSやFacebookのグループで、店長がスタッフを褒めたりスタッフが仕事の成果を発信したりすることで、活躍を“見える化”します。それに対して、他のスタッフが「いいね!」を押したりコメントしたりして、気軽に賞賛やフィードバックを行うのです。

 こうした取り組みを行っていくと、店舗や社内に気軽に褒めあう文化が根付き、店舗や会社がスタッフにとっての「自分を認めてくれる心地いい場所」へと変わるのです。

ゲーミフィケーションの導入方法

  では、具体的なゲーミフィケーションの導入方法を見ていきましょう。中心となるのは、「課題」「報酬」「交流」からなる3つのステップです。

具体的な「課題」「報酬」「交流」の設定事例

ここで「課題」「報酬」「交流」の具体的な設定事例と、スタッフにもたらす心理効果を見てみましょう。例えば「接客の質を向上させたい」という「課題」であれば、「報酬」と「交流」はこんな風に設計することができます。
  顧客サービスの向上を目指すなら、アルバイトスタッフに一定の裁量を与えるのも「報酬」として有効です。これは、居酒屋「塚田農場」などを運営するエー・ピーカンパニーが、スタッフに客単価4,000円の1割にあたる400円分を無料でサービスできる権限を与えています。また、料理レシピ投稿サイト「クックパッド」で、レシピを参考に料理を作ったことを報告する「つくれぽ」が、レシピ投稿者の大きなモチベーションとなるように、他者からの賞賛やフィードバックも心理的な報酬になります。「認められたい」という気持ちが人一倍強いともいわれる若者層には、より効果的かもしれません。

 スタッフのモチベーションアップにつながるなら、どんなものでも報酬になりえます。どんな報酬を設定するかは、店長の腕の見せ所といえるでしょう。まずは、クリアすべき「課題」に合致した「報酬」を設定する。そして、褒められたりフィードバックをもらえたりする「交流」を通すことで、スタッフのチャレンジ精神はますます高まっていきます。「課題」「報酬」「交流」が循環していくと、新たな「課題」が見えてくるはずです。

ゲーミフィケーション運用は“長い目で”

  ゲーム的要素とソーシャル的な要素が組み合わさったことで、職場はやりがいや達成感を得られる場であると同時に、スタッフ一人ひとりが主人公として活躍を認められ、褒められる場となります。その結果、主体的な行動の促進やモチベーションアップにつながっていきます。

 ただし、ゲーミフィケーション運用の効果は、長い目で見る必要があります。いい循環を生む仕組みづくりには時間がかかるため、継続することが大切です。でも、スタッフ一人ひとりが「みんなに認められている」「みんなが自分を必要としてくれる」と実感できれば、職場の雰囲気がぐっとよくなっていくはずです。

 すでに述べた通り、ゲーミフィケーションはSNSを使い慣れた若い世代のスタッフにはなじみやすい手法です。また、全員のソーシャル参加が必須ですから、少人数のほうが導入のハードルが低い手法でもあります。コンビニ、飲食店など、若いスタッフを抱える店舗はぜひ、試してみてください。
提供:インテリジェンス「an report」
http://weban.jp/contents/an_report/
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著者プロフィール

ループス・コミュニケーションズ コンサルタント 岡村 健右

1975 年大阪府生まれ。SEとしてグループウェア開発などに携わり、2007年よりループス・コミュニケーションズにてソーシャルメディア全般のコンサルティングを担当。Facebook、Twitter だけでなく、ソーシャルゲームのアナリストも担当。共著に『ソーシャルメディア・ダイナミクス』(毎日コミュニケーションズ)、『ゲーム産業白書Decade』(メディアクリエイト)などもある。
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