人材不足の最中、ようやく新しいスタッフを獲得してホッとしたのもつかの間。新人は平気で遅刻し、勤務中にはケータイをいじり、目上のスタッフにタメ口をきく“問題児”だった! 社会の常識が通じない、叱っても聞かない……そんな彼らに店長はどう接するべき? アルバイト・パートの現場を数多く知るコンサルタント・白岩大樹さんに、問題児のタイプ別コミュニケーション術を伺いました。

問題児バイトの実態とは?

第19回 無断欠勤、悪ふざけ、バイトテロ…… パターン別“問題児バイト対策”
コンサルタントとして多くの現場を訪れるなかで、アルバイト・パートスタッフの素行に頭を抱える店長さんは少なくありません。特に10~20代の若い世代のスタッフの働き方に、ご自身とのギャップを感じてイライラされている方も……。“問題児”たちの実態として耳にするのは、例えばこんな行動です。

【“問題児”アルバイト・パートスタッフの実態】
・遅刻を繰り返す         ・目上の人にタメ口をきく
・陰で他のスタッフの悪口を言う  ・無断で商品を持ち帰る
・始終ケータイを気にする     ・挨拶をしない
・指示を聞かずに独断で行動する  ・シフトの日を忘れて欠勤する
・隠れてタバコを吸う       ・退職の連絡をメールで済ます


 ほか、「SNSにうかつな書き込みを行う」なども、問題行動の一つと言えるでしょう。スタッフが投稿した悪ふざけや内部情報の暴露などが、TwitterやFacebookから広がって炎上する「バイトテロ」で、営業停止に追い込まれる店舗や破産する企業さえ出ています。

すぐ叱るのはNG! 問題児の個性を見抜くべし

第19回 無断欠勤、悪ふざけ、バイトテロ…… パターン別“問題児バイト対策”
問題行動が目につくと、「とにかく叱らねば!」と思いがちです。しかし、ガミガミ叱るのはもちろん、冷静に叱ったとしても、今の若い世代は「負の感情を向けられた」と判断し、シャットダウン(完全拒否)状態になってしまいがち。そして、一度シャットダウンしてしまえば、どんな話も受け入れなくなるのです。

 もしスタッフが何かミスをしたとしたら、それが過失であっても、悪意のある行為であっても、感情的にならずに「なぜそういった行為をしたのか?」「なぜそのように思ったのか?」を聞いてあげましょう。すると、問題行動の根っこには、それぞれ異なる欲求や理由があることに気づきます。例えば、私が現場でよく見かける問題児は次の5タイプです。

【問題児たちのタイプ5つ】
●天然無知型 「えっそうだったんですか?」

性質:のんびりしており、一般常識もあまりよく知らない。
⇒知らないがゆえにトラブルを起こしてしまう。
●武勇伝アピール型 「俺ってスゴイんだぜ!」
性質:自分のことを認めて、褒めてほしい。
⇒評価してもらえないと行動をエスカレートさせる。
●お笑い芸人型 「みんな、もっと笑って笑って~!」
性質:みんなを楽しませ、面白い人だと思われたい。
⇒楽しんでもらいたい一心で悪ふざけがすぎる。
●雇用形態回避型 「私、アルバイトなんで……」
性質:冷静で、自分で線引きした範囲以上の仕事には深入りしない。
⇒アルバイトという雇用形態を理由に業務に協力的でない。
●レジスタンス型 「店長ムカつくんだよ!」
性質:感情的に考えやすく、店舗や企業に対する不満を溜めている。
⇒店舗や企業が不利になるような行動に出る。

 例えば、何も知らずに問題行動を起こしてしまうのが「天然無知型」です。高校生や大学生など、社会人経験のないスタッフのほとんどがこのタイプと思ってよいでしょう。

 過去にSNSで炎上した、アイスボックスに寝ころんだスタッフ、あるいはピザ生地を顔に張り付ける悪ふざけをしでかしたスタッフも、ある意味「天然無知型」であり、同時に「武勇伝アピール型」「お笑い芸人型」でもあります。

 一方、「アルバイトにすぎない自分がそこまで働く必要はあるのか」と考える「雇用形態回避型」の意見は、雇用側の要求が大きすぎる場合には正論であるケースも存在します。しかし往々にして、彼らには「アルバイトだから遅刻してもいい」「無断欠勤もOK」と、労働に対して甘い考えを持つ傾向があります。

 最後に、店舗や企業に対する不満が溜まった結果、故意にトラブルを起こそうとする「レジスタンス型」には、バイトテロを起こして企業を窮地に追い込むようなケースが当てはまります。

問題児を変えるコミュニケーション術

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