「春闘」とは、春季闘争の略語で、毎年、春ごろに労働組合と経営側が賃上げや労働時間の短縮などといった労働条件を改善するために行う交渉のことです。

はじめに自動車や電気機器などの大手製造業が交渉を始め、労働条件や賃金のベースが決定され、方向性が固まります。続いて、鉄道や電力会社などの非製造業が交渉に入ります。大手の春闘が終わると、中小企業の労働条件の改善交渉が行われ、概ね3月ぐらいに終了します。なお、公務員にも春闘はあります。

1954年に、5単産(産業別単一組合:炭労、私鉄総連、合化労連、電産、紙パ労連)で「共闘会議」が設立され、翌年に、全国金属、化学同盟、電機労連が加わり「8単産共闘会議」が結成され、賃上げなどの交渉をしたのがはじまりです。それまでは、企業ごとにそれぞれが賃上げなどの交渉をしていましたが、組合側が経営側による賃上げの抑制を打ち破るために、労働組合が産業の違いを超えて団結し統一した闘いを実現しました。当初は労働組合のナショナルセンターである総評が中心になって春闘に取り組んできましたが、1990年からは連合が中心に取り組んでいます。

春闘が終了すると、厚生労働省で「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」が発表されます。これ以外にも、速報として日本経団連が「春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果」や「春季労使交渉・中小企業業種別回答一覧」などを発表しています。

賃上げ率とは、各企業の使用者と労働組合間で妥結した平均の賃金引上げ率のことで、多くの日本企業では、所定内給与の改定は春闘の結果を受けて年度単位で実施され、所定外手当てや賞与の計算も所定内給与を基礎に計算されるので春闘賃上げ率は各年度の賃金の動向に大きな影響を及ぼしてきました。このため春闘賃上げ率は、その年度の雇用者所得の推計や労働コストから物価上昇率に与える影響などの予測に利用されてきましたが、賃金変動に大きな影響を及ぼしてきた春闘は、近年、労働組合の組織率低下などにより、これまでの主な目的であった賃上げだけでなく、雇用関係維持や労働時間短縮も目的の一つとなっています。

それらに伴い、連合では「春季生活闘争」、日本経営者団体連盟(日経連)では「春季労使交渉」と呼び名を変更しています。また、年俸制や賞与の業績連動制を採用する企業が増え、各従業員の給与についても年功序列型から各個人の業績に応じて賃金格差を拡大させる方向に変化しているため、春闘賃上げ率が日本全体の雇用者所得の動向を示す指標としての役割もかつてに比べて低下しています。