Wマーク取得に効果的な助成金と取得のインセンティブ

Wマークの認定に至るまでには、まず国内すべての事業場において基準を満たし、必要な挙証資料を整備する必要がある。また、実績そのものを蓄積する必要があるので、マネジメント層を巻き込んだ中長期にわたる計画的な取り組みが求められる。
したがって、その間のメルクマールとして活用可能な助成金、そして認定に至った際のインセンティブを把握することにより、コストをできる限り抑えつつ、効率的かつ持続的に取り組むことができるだろう。

まず、Wマーク認定基準のクリアにあたり助成金活用が主に見込めるのは、次の3種である。

A)職場意識改善助成金各コース
B)受動喫煙防止対策助成金
C)産業保健関係助成金各メニュー
※このうちA)およびB)は厚生労働省都道府県労働局が、C)は独立行政法人労働者健康安全機構がそれぞれ所管している。

他の各種認定マークにも共通しているが、前項表中(10)および(11)の基準例からも読み取れるように、過重労働対策としての長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進については、働き方改革の動きとあいまって、取り組むべき意義が大きい。その点、労働生産性向上のための機器・設備の設置やコンサルティングに要する経費助成であるA)は有効である。

また、前項表中(12)の基準例については、ダイレクトにB)が活きるだろうし、前項表中(9)(ないし(10)や(11))の基準例についても、特に事業内産業保健スタッフや安全衛生管理体制が十分とはいえない中小企業にとっては、基準のクリアいかんに関わらずC)は有効な助成金といえる。

次にWマーク認定のインセンティブについてだが、これには主に次のようなことが考えられる。

a)ステークホルダー(特に求職者)に対するPR効果(CS向上)
b)従業員に対するワークエンゲージメントの開発(ES向上)
c)公共調達における入札時の加点評価

a)やb)については厚生労働省のWEBサイトで公表されるほか、自社製品やHP、名刺等にロゴマークを記載することができ、本稿のテーマでもある人材確保(新規採用+離職防止)に対するインセンティブである。
また、c)については業種によるところはあるが、省庁レベルでは既に導入済みであり、大きなアドバンテージともなりうる。
このほか一部信用保証協会など民間事業者が独自のインセンティブを設けているほか、Wマーク認定の取組過程で他の各種認定マークのインセンティブも取り込むことが可能である。

たしかに、未だ決して社会的認知度が高いとはいえないなど、認定制度そのものの課題は存在する。しかしながら、むしろこのタイミングだからこそ、競合に先んじての、あるいは地域初・業種初の認定取得によるインパクトもまた存在する。
働きやすさを謳うことはたやすい。だがそれを客観的かつ高い水準で示すことは難しい。ぜひこの機会にマーク取得を検討されたい。


社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー
代表 健康経営アドバイザー 楚山 和司
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