株式会社Legaseed(以下、レガシード)は2022年6月15日、新給与制度「年俸合意書」を、同年8月より全社において本格的に導入すると発表した。本制度は、社員が妥当だと思う給与額を提案し、会社が納得したうえで合意締結するもので、これまでの1年間、社員のエンゲージメントを高める取り組みとして試験運用していたという。同社はこの取り組みを、社員の自己成長や会社の事業成長につなげていきたい考えだ。
社員自らが給与額を提案する「年俸合意書」制度をレガシードが導入。“自身の市場価値”や“給与の妥当性”を考える機会に

社員自身が目標に応じた金額設定を行い、企業・社員の双方が納得した給与設定に

近年、物価の高騰に対して、給与は上がらないという風潮が強まっている。レガシードでは、給与が上がることは日本社会全体の景気に影響し、社員の生活を豊かにするだけでなく、「社員への期待値」に置き換えられるものでもあると考えていた。給与が上がらないことで、社員が「会社から期待されていない」と捉えれば、パフォーマンス発揮へのモチベーションが上がらず、成果にも影響が出ることが懸念される。そのため同社は、「社員が給与額に納得しているか」が会社を経営するうえで重要だと考えていた。

そのような考えのもと、レガシードでは、「目標の達成度合いに応じて昇給金額が決まる」という給与制度を以前より導入していた。しかし、従来の制度では、仮に若手社員に実力があったとしても、先輩社員の給与を追い越しにくい仕組みとなっていることに課題があったという。会社側としても、社員が高い給与に見合うパフォーマンスを出せなければ損失となるため、社員側と会社側の双方が納得して給与設定をする必要があると考えた。

そうした経緯から、同社は1年間のトライアル運用を経て、2022年8月より全社において「年俸合意書」制度を本格導入することを決定した。「年俸合意書」制度とは、「自分がどこまでの成果を出すか」という目標を定め、目標達成時の給与額を会社側に提案する人事制度だ。社員側と会社側とで、互いが納得すれば合意締結がなされる仕組みとなっている。なお、合意に至らない場合は、さらに話し合い、目標と給与額をすり合わせていくという。

この制度では、自身がその給与額を設定した根拠の説明を要するため、社員にとっては給与に対する妥当性を自ら考える機会につながる。また、客観的に自身の市場価値を捉えることができるメリットもあるという。実際に本制度のトライアル運用に参加した社員からは、「合意した給与が約束されたことで、以前より目標に対する意識が明確になった」という声があがっているそうだ。

レガシードでは、人事制度の目的を評価や給与金額の決定ではなく、「企業活動において、社員にあってもらいたい姿や状態を形にしたもの」と捉え、制度の内容に会社と社員の双方が合意していることが重要だとしている。同社は、「年俸合意書」制度の活用により、個々の自己成長を促すことで、組織成長や事業成長、ひいては顧客への価値貢献の極大化へとつなげたい考えだ。

社員自らが給与額の設定をすることで、仕事に対する給与の妥当性を考える機会となり、モチベーションの向上にもつながると考えられる。年次やキャリアに応じた給与設定だけではなく、個々の実力に応じた給与の支給が実現できる制度の導入も検討してみてはいかがだろうか。

この記事にリアクションをお願いします!