世界の大手企業が使うツールでリーダーシップを育成

世界の大手企業が使うツールでリーダーシップを育成

ポインツ・オブ・ユー

ポインツ・オブ・ユー・ジャパン

日経BP社

イスラエル発、世界147カ国で100万人以上が体験したツール

ポインツ・オブ・ユー・ジャパン

ビジネスリーダーに求められるのは、考え方もバックグラウンドも違うチームのメンバーをまとめ、個々のメンバーの能力を引き出し、チームとしてのパフォーマンス向上やイノベーションを実現させていくこと。そのようなリーダーシップの育成に役立つ新発想のツールとして注目され始めているのが、2006年にイスラエルのコーチング専門家によって開発された「ポインツ・オブ・ユー」である。発祥の地イスラエルからアメリカ、ヨーロッパなどに広がって、現在は147カ国で展開されており、この「ポインツ・オブ・ユー」を体験もしくは活用している人はすでに累積100万人以上。視野を拡大し、創造力や発想力に刺激を与えるツールとして、ビジネス領域ではグーグル、インテルなど世界トップクラスの企業が導入し、組織変革やプロジェクトマネジメントなどに活用しているほか、教育、公共などの幅広い領域でも使用実績がある。

写真を使って話すから、上司は聞きやすく、部下は言いやすい

日本では2014年に日本語版がリリースされ、普及活動が本格的にスタートした。このツールは、実世界の情景を切り取った写真と言葉が載った65枚のカードで構成されている。写真はクローズアップされたものが基本で、全体像が見えないから、見えていないところでは何が起きているのかと、各人各様に感じ取り、意識や発想を広げていくことができる。 カードを使ったセッションでは、一人がファシリテーターとなってメンバーに写真を見ながらあるテーマについて話してもらい、考えが広がるような質問をする。そして、考えがどんどん広がった状態から、どういう行動を起こせばよいかを各自が絞り込み、1週間、1カ月といった単位で行動計画を立てる。これが基本的な流れである。

では、ビジネスの場面でこれをどう活用できるのか。例えば、販売成績が低迷している営業チームで、上司が目標未達成の部下と面談を行い、「なぜ売れないのか」と聞いても、成績が悪い社員は萎縮し、思っていることを言えない場合が多いものである。

そんなとき、上司が部下にカードを2枚引いてもらい、それぞれの写真を見ながら、今仕事でうまくいっていることとうまくいっていないことを話してもらう。1枚目が数羽の鳥が肩を寄せ合っている写真なら、「忙しいときは協力し合う雰囲気がチームにあります」という言葉が出てくるかもしれない。2枚目が何かが均一に並んでいる写真なら、「繰り返しが多くて、先が見えないんです」といった悩みが吐露されるかもしれない。

うまくいっていないことを話すのに、明るい雰囲気の写真を引いたなら、何を言おうかと困り、考えるうちに本人にも意外な言葉が出てくることもある。ストレートに聞くのではなく、カードを使ってワンクッション置いて聞くことで、部下の考えを引き出しやすく、部下も言いやすい。そして、上司は「先が見えていたときは今までにあったのかな」、「そのときと今は何が違うんだろう」、「これからどういうことをやっていけばいいと思う?」、「必要なサポートは何だろう」といった質問をし、問題の本質を見出していく。

部下の「見えていない能力」を引き出し、強いチームをつくる

このように行動計画に落とすと、上からこうしろと言われたのではなく、自分の中から自然にわき起こったことだから実行されやすく、成果が出る可能性が高い。会話の中で、本人にも見えていなかった部下の能力やパーソナリティに上司が気づき、伸ばしていくこともできる。

また、チームの定例ミーティングの場でカードを使ったセッションを行い、先週うまくいったこととうまくいかなかったことを、各自が選んだカードを見ながら全員に話してもらう方法もある。そうすると普段のミーティングでは出てこないことを吐露し合い、課題を共有できる。それを改善するにはどうすればいいか、これまでは出なかった意見を上司が引き出し、チームのパフォーマンス向上に繋げていくことができる。

同様のことを毎週の営業会議で実践しているのが、家具販売の世界的企業イケアである。同社では5年ほど前から「ポインツ・オブ・ユー」を導入。以前の営業会議は数字に関する話し合いが中心で、目標に届かない場合は犯人捜しを行うような雰囲気もあったが、カードを使って、この1週間自分たちの営業でうまくいったこと、うまくいかなかったことは何か、どうすれば改善できるのかを率直に話し合うようになり、現在の好調な業績を支える一助になっているという。

カードを使ったセッションでチームのイノベーション創出力を強化

ポインツ・オブ・ユー・ジャパン

上司が部下の創造性を引き出し、チームのイノベーション創出力を伸ばそうとするときもカードを使ったセッションは有効だ。世界有数のIT企業であるグーグルやインテルでは、今までにないアイディアを引き出すブレインストーミングなどに「ポインツ・オブ・ユー」が活用されている。世界中が知るエンターテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユでは、世界一流の演技者がさらなるイノベーション向上を図るうえで、カードを活用している。自身の技術力をマネジメント層にコミュニケーションするにあたって、カードの写真が手助けになり、より理解が深まるようになった。そしてマネジメント層もより的確なアドバイスを投げられるようになった。

また、世代やバックグラウンドが異なるメンバーの混成チームで意志疎通ができていない場合など、カードを使ってチームビルディングができる。例えば、メンバー各自がカードを2枚引き、写真を見ながら自分の「強み」と「弱み」は何かを話す。すると、直接聞いても出てこないことが内面から引き出され、他者理解も自己理解も進む。「Aさんのその弱みはBさんの強みでカバーできますね」というように、チーム内でうまく連携していく土台が作れる。特に、最近はグローバル展開の中で外国人社員の採用を増やす日本企業が多い。言葉も文化も違う多様な人材を一つのチームにまとめていくとき、こうしたツールは助けになる。

海外企業では社内のマネージャーがツールの使い方を学び、自由に使っている場合も多いが、日本での本格的な普及はこれから。そこで、日本総代理店のポインツ・オブ・ユー・ジャパンでは、海外企業での活用事例に基づいた研修プログラムを提供しているほか、パートナー独自のビジネスサービスに基づいたパッケージ等も提供している。部下の力を伸ばし、息の合ったチームを作り、新しいものを生み出す。そうしたリーダーシップを強化したいという課題を持つ企業には、新たな選択肢になるだろう。