組織の未来を担う幹部候補の育成に

組織の未来を担う幹部候補の育成に

組織の中で見過ごされていた、課長職クラスの育成

日経BP社の看板雑誌である経済情報誌『日経ビジネス』が企画する「課長塾」は、組織の未来を担う“真のリーダーになるための原理原則”を3カ月間、全6回の講義で学ぶ講座。判断力、仕事の優先順位の付け方、リーダーシップの考え方、考え抜く力、部下に教える技術、チームビルディングなど、リーダーに不可欠な要素を異業種とグループワークの中で学び、マネージャーとしての知識、スキル、マインドを鍛え上げる。講師は、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどのグローバル企業で社長職を歴任してきた新将命氏をはじめとする強力な布陣。実績、教え方ともに優れた講師による徹底的な指導が評判を集め、今までに1036名ものリーダーが修了している(2014年12月時点)。

「課長塾」が開校したのは2010年。きっかけは、『日経ビジネス』の2006年11月6日号の特集記事「管理職が壊れる」だった。当時は課長職クラスの中間管理職において、通常業務以外に情報管理、内部統制、セクハラ・パワハラ対応など、背負わねばならない役割が一気に増えた頃。多重責務に落ち潰されそうになっている中間管理職の悲鳴を聞き、どのような解を出すべきなのかを検討。数々の企業に取材し、現場の事例を通して、「プレイヤーとして実績を挙げ、抜擢された“デキる人”であるはずなのに、ここまで苦悩しているということは、マネジメントの訓練を受けておらず、目指すマネージャー像が確立できていないからではないか」という仮説を立てたのだ。

現在のマネージャー世代は、自力で仕事を覚えて力をつけ、実績を挙げてきた。一方、部下となる世代の多くは、教えられて環境を整えられて育ってきた。なかなか成果を挙げられない部下に対して物足りなさやいらだちを覚え、指導をするのではなく「自分がやった方が早い」とプレイヤー時代と同様に走ってしまい、自ら業務量を増やして自滅するケースが多いという。「名プレイヤーが、名監督になれるとは限らない」といわれる所以だ。

また、自分なりの理想の「マネージャー像」をぼんやりと抱いている人が多いものの、我流であるがゆえに軸がぶれがちになり、うまくいかずに悶々とする人も多い。そこには、課長クラスのミドルマネジメント層の教育が手薄である、という現実がある。目先の業績にばかり意識が向き、現場で陣頭指揮を取って業績に貢献してほしいという思いが強いために、育成に対して関心が低く、放任主義を取る企業が多いのだ。

原理原則を知る、マネージャーとしての土台をつくる

「課長塾」では、そんな境遇にあるマネージャー層にリーダーの原理原則を徹底的に教えることで、受講者一人ひとりがマネージャーとしての「土台」と「軸」を作ることを目的としている。「課長といえば、管理職の第一歩。そんな段階で、経営の原理原則までを学ぶのは早すぎないか?」と思われるかもしれないが、組織は人で作られ、優秀なリーダーの存在が経営そのものを左右する。管理職の初期段階で経営の原理原則を知ることは、マネジメントの本質を知ることに繋がり、マネージャーとしての“土台”もできあがる。ゆるぎない土台があれば、軸がぶれることもなくなる。部下も上司の軸が見えるので、同じ方向に向かって走りやすくなる。

そういう状態を作り出すために、「課長塾」では6日間7講座50時間以上のカリキュラムを通して、徹底的にマネージャーとしての「あり方=土台」を自問自答させる。受け身の座学はなく、実践型のワークショップが中心。ワークの中で「自分のマネージャー・スタイルとは」を言語化できるぐらいまで具体化させることで、自分ならではの「“ある”べきマネージャーの型」を身に付けることができる。

毎回の講義の最後には、講義で学んだことを振り返り、講義で学んだ内容の何を職場で実践するかをメンバーに宣言。そして、次回の講義の初めに実践報告を行う。次の講座までの期間は「学びの実践」と「課題発見」の大事な時間と捉えることで、「学ぶ、振り返る、実践する、共有する」のサイクルが生まれ、短期間で即戦力が身につく。

異業種との「知の交流」で視野が広がり、イノベーションが生まれる

一方、膨大な業務に追われるあまり、「ビジョンを考える」「イノベーションを起こすために知恵を絞る」など、組織の将来に必要な事項に目が行かない…という課題を抱えるマネージャーも多い。

「課長塾」では、狭まってしまった視野を広げ、新たな視点を得られるような工夫もされている。大切にしているのは、「同じ立場ながらバックグラウンドの異なる他人」と接し、意見交換をする機会だ。

同じ環境、同じ経営方針のもとで過ごしてきた人たちばかりが出席する社内研修では、発想力を磨きたくても、どうしても現状維持のバイアスがかかってしまうもの。そこで、あえてさまざまな業種、企業規模の受講者を入り交ざらせている。異なる着眼点、発想を持つ人たちが、ディスカッション等を通して交わることで、お互いを刺激し合い、高め合うことができる。ポジションが上がるほど、社内業務が増えて「異業種の猛者」と交わる機会が減っていくもの。互いの知識のぶつけ合いが視野狭窄からの刮目となり、新たな成長ステージへと進むきっかけになるうえ、通常業務の中では得られない貴重な人脈形成にも繋がっている。

マネージャーとしての自分の軸ができ、業務がスムーズに

修了者からの声で多く聞かれるのは、「マネージャーとしての自分の軸ができたことで、組織がうまく回るようになった」「実践的で早く理解が深まった」「異業種の課長クラスの方々との人脈ができたことが、自分の財産となった」など。「学んだことを他のマネージャーにも伝えるため、自ら社内マネージャー研修の講師となり、会社全体の底上げを図っている」との声もあった。

マネージャーの仕事に、正解はない。マネージャーの仕事が何たるかを徹底的に知ることで、自分ならではのスタイルを自分で決めることが重要なのだ…ということを、短期間で体感し習得できるのが「課長塾」なのである。