新卒採用

「育てる」視点を、新卒採用のスタンダードに

職サークル100×10(ひゃくてん)チャレンジ

提供:株式会社パフ

株式会社パフ

企業と学生のリアルなコミュニケーションを提供

キャリタス就活

「職サークル100×10(ひゃくてん)チャレンジ」(以下「100×10チャレンジ」)は、就職活動中の大学生がひたすら社会人を訪問するというプロジェクトだ。2〜3カ月間で100人を目標に、学生が自らアポイントを取り、企業で働く社会人にインタビューを行う。学生を受け入れる企業側は約70社が参加。採用市場全体として企業と学生の接点が減っている中、リアルコミュニケーションの場として期待されている。

このプロジェクトは、直接的な採用を目的としたサービスではない。しかし、企業と学生の相互理解が深まることから、実際の採用にもプラスの影響を与えているようだ。この「100× 10チャレンジ」を中心とした株式会社パフの「職サークル」という取り組みは、第4回日本HRチャレンジ大賞で「人材サービス優秀賞(採用部門)」を受賞した。

学生を「育てる」気概で、顔の見える採用を目指す

「100×10チャレンジ」は、株式会社パフが運営する「職サークル」におけるサービスの1つ。この「職サークル」は、【顔の見える就職と採用】をコンセプトに、企業と学生が繋がりを持つためのプラットフォームとして誕生した。

就職ナビによる採用活動では、学生は何十社もの企業にエントリーする。さらに企業も情報発信をナビに頼りきっているため、お互いの本当の姿が見えづらくなっているのだ。これに対して「職サークル」の活動では、企業が学生一人ひとりと向き合い、若者の社会への巣立ちをサポートするつもりで関わっていく。そして自社の良いところだけでなく改善点も含めて社会や社会人のリアルを伝えていく。この考え方に賛同した企業が、協賛企業として「職サークル」のさまざまな活動に参加。なお、学生の参加費は無料だ。大学のキャリアセンターをはじめ、先輩や協賛企業などからの紹介で参加する学生が多い。

「職サークル」では、少人数のイベントを年に100回程度開催している。その中でも好評なのが、企業の採用担当者と学生が円座になってキャリアや人生について語り合う「くだんトークナイト」だ。企業は、人気の高さから参加回数が限られるが、少なくとも1カ月に1回のペースで参加できる。学生は多くの価値観に触れることで成長し、企業側は学生に社会のリアルを伝えることで、お互いの信頼関係を深めている。また、協賛企業の繋がりから「シェア活」と いうイベントも生まれた。事例を挙げると、物流企業5社が互いに協力して業界説明や各社の違いを明確にするイベントを開催した。各社が自社にエントリーした学生に声をかけ、業界全体の理解を深めようという企画だ。その結果、学生が他社に興味を持つことも容認。それ以上に、各社の違いが明確になることで、学生が自分に合う会社を見極め、最終的なミスマッチを防ぐ効果を期待している。

こうした「職サークル」の活動をさらに具現化したものが、「100 ×10チャレンジ」である。このプログラムがスタートした背景にあるのが、就職活動の解禁時期が3カ月後ろ倒しになったという環境変化だ。就職活動自体は遅くなっても構わないが、本来、学生は就職活動を通じていろいろな社会人と接することで、初めて世の中を知る。活動期間が短くなればそのチャンスも減り、何も分からないまま就職することになりかねない。そこで、「職サークル」の枠組みを活かした「100 ×10チャレンジ」というアイディアが生まれたのだという。

お互いの本音を知ることが、ベストなマッチングを生む

「100×10チャレンジ」には、「職サークル」の協賛企業であれば参加できる。2014年の「100×10チャレンジ」では、8〜9月期、10〜12月期、1〜2月期の3クールで各120人の学生が参加。協賛企業は学生に対応できる社員リストを提供し、学生は会いたい人に自分からアポイントを取って各社に出向いた。「100×10チャレンジ」の「10」は、10の問いを事前に考えることを意味している。学生たちは企業や業界についてじっくり調べる必要があり、それもまた学生の成長に繋がるようだ。

しかし勘違いしないでほしいのは、「100× 10チャレンジ」が学生を選考する手段ではないということ。もちろん、プログラムに参加した学生が訪問した企業にエントリーし、内定を得たというケースもある。しかし、それはあくまで結果論に過ぎない。「100× 10チャレンジ」を含む「職サークル」の活動を通じ、1年前から育てる気概を持って学生と接していれば、たとえ有名企業でなくとも学生の心に親しみと感謝の気持ちが生まれるだろう。もちろん、企業について理解も深めてもらえる。その上で「入社したい」と思う学生が現れ、内定に繋がるのは自然なことだ。

プログラムに参加した協賛企業からは、「密度の濃いエントリー者が増えた」「就職ナビで応募してきた学生が9割だが、内定を出したのは職サークルで自社をよく理解して応募してくれた学生だった」等という声が多く聞かれる。

表面的には見えにくい学生の”伸びしろ”を可視化する

約830校が導入する「UniCareer」とも連動し求人票が見られる

「100× 10チャレンジ」には、学生の潜在能力を引き出す効果もあるようだ。採用に関する問題を研究している横浜国立大学の服部泰宏准教授の調査によると、「100× 10チャレンジ」に参加した学生は、社会で活躍するための「学習する力」「思考する力」「行動する力」「協働する力」という4つの能力が全体的に高まっているという。

採用活動では、顕在能力のある一部の学生に着目しやすい。しかし実際には、「今はそれほどでもないが、いずれ活躍するかもしれない」という学生が少なからずいるはずだ。「100×10チャレンジ」では、そうした”伸びしろ”のある学生を見いだせる。2カ月間で目に見える成長を遂げた学生なら、企業に入ってからさらに伸びる可能性は高い。企業にとっては、通常の採用フローでは見えにくい学生の潜在能力をも可視化できるというわけだ。

協賛企業が増えることで学生が底上げされ、成長のチャンスは増える。これからの社会を担う学生は、社会共通の財産と言えるだろう。企業にとっては、参画企業が協力して多くの学生を育て、採用市場の本来的な活性化を目指していくことが、一見遠回りのように見えるが自社の採用成功に資することにもなる。「100× 10チャレンジ」に参加するモチベーションとなるのだ。