6割以上の企業は採用活動を年内にスタート

2016年新卒採用に向けて、2014年内にすでに実施している施策があるかを聞いたところ、「特にない」と回答した企業は37%しかなく、残り63%の企業は何らかの活動をスタートしていることになります[図表2]。もちろん採用広報解禁が12月1日だった前年までと比較すれば、採用のための活動をスタートさせている企業の割合は大きく減ってはいますが、新スケジュールでの採用広報解禁が3月であることを考えれば、企業の動き出しは極めて早いと言わざるを得ません。
 すでに実施している施策内容を見てみましょう。「キャリアセンター訪問」33%、「インターンシップ」28%、「学内企業セミナー」25%などは、4分の1以上の企業が実施済みと回答しています。実施した割合は大企業ほど高く、「インターンシップ」54%、「学内企業セミナーへの参加」41%、「キャリアセンター訪問」38%となっています。全体では17%にとどまった「採用ホームページの開設」も、大企業では25%に上ります。

増加する「短期インターンシップ」

2016年度採用に向けてインターンシップを実施したか(する予定か)を聞いたところ、「インターンシップを実施した(する予定)」と回答する企業の合計は46%となりました[図表3]。半数には至らないものの、「前年は実施していないが今年は実施した(する予定)」と回答した企業は20%を占め、新スケジュールへの対応としてインターンシップの必然性が増していることが伺えます。一方、「前年は実施したが今年は実施していない(しない予定)」という回答は5%にとどまります。
第46回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き
インターンシップの開催タイプでは、「2週間」以上のインターンシップの比率が減少する中、「半日」~「1週間」のインターンシップへの回答率はすべて上昇しています[図表4]。特に「1日」は、前年の22%から39%へと倍増に近い伸びを見せています。いわゆる1Dayインターンシップです。
第46回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き
「採用選考に関する指針」では、「就業体験としてのインターンシップの在り方」として「学生の就業体験の提供を通じた産学連携による人材育成を目的とすることに鑑み、当該プログラムは、5日間以上の期間をもって実施され、学生を企業の職場に受け入れるものとする」と記載されているものの、実際にはこの定義に当てはまらない開催形式が大きく増加しています。早期にできるだけ多くの学生を受け入れようとするのであれば、1Dayインターンシップが手っ取り早いということなのでしょう。

インターンシップの開催ピークは「2015年2月」

インターンシップ実施月(予定含む)で最も回答が多かったのは、サマーインターンシップが開催された「2014年8月」(50%)ではなく、「2015年2月」の54%でした[図表5]。すでに夏・秋のインターンシップ開催の増加が話題になっていましたが、「2015年2月」にはより一層の開催数が見込まれることが明らかとなりました。3月1日の採用広報解禁前に駆け込み開催を狙ったものと思われます。
第46回 「2016年新卒採用動向調査」からわかる各企業の動き
サマーインターンシップを開催するためには相当早くから準備が必要となりますが、初めてインターンシップを開催する企業からすると、これまで会社説明会やセミナーを開催していた「2月」というタイミングでの開催には違和感がないとも言えます。内容も職場体験を伴う本来のインターンシップではなく、セミナーやワークショップ形式の1Dayインターンシップが主流となっており、昨年までのセミナー・説明会の名称が変わっただけに近いのではないかと推測されます。採用広報の解禁日である3月1日を待たずして、早くも2月には採用広報活動のピークを迎える様相を呈しています。
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