「経営の良否を判断するものは結局事業の業績である。
百の知識よりも実際に達成された成果こそが良否の判断のなによりも重要な基準であるのみならず、すぐれた業績の達成が事業経営の目的でもある」とは、現代の経営の中でドラッカーが言っていることですが、企業人であれば、それが当たり前であることは自明の理であり、疑うことはないでしょう。
しかしながら、「企業では、百の知識より一つの成果の方が尊ばれるべきである」という設問に対して、新入社員の段階では、次のような回答傾向になっています。

そう思う   36.2%
わからない  28.8%
そう思わない 35.0%

なんと、知識の方が大事、と考える人が1/3以上いるのです。
多少のぶれはありますが、2001年以降のデータでは、この傾向に大きな変動はありません。

論語の冒頭に「学習」という熟語の元になる話があります。
そこには、「学ぶ。そして折にふれて繰り返し実践する。なんと楽しいことではないか」と書かれています。
「習」という字は、現在の辞書では、「繰り返して行って身につける」というような意味ですが、もともとは、行動に移す、実践するという意味だそうです。
学んだこと=知識は、現場で生かしてこそ、初めて意味を持つこと、
それが楽しみにつながることは、ずっと昔から言われていることなのです。
おそらく学校では、この「学習」の本質からずれ、テストに明け暮れ、知識を問われる生活を送ってきたから、このようになってしまうのでしょう。

ちなみに、この設問で「そう思わない」と答えてしまう新入社員は、次のような傾向もあるようです。

・多くの先輩と幅広く付き合うより、特定の先輩と親密になる方が得である。
・我々従業員は、会社の利益を生み出す手段であって、職場で個性を発揮することはむずかしい。
・会社はその利益を蓄積するよりは、むしろ全部を経営者、出資者、従業員に分配するべきである。

これらの傾向が、通常よりも5~7%程度高くなります。

その他のデータの揺れも勘案すると、知識重視の新入社員は、仕事に対するマイナス意識がやや強いことがわかります。

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