採用ホームページは12月1日オープンが主流

採用広報解禁の3月1日よりも前にどんな活動を展開するのかを尋ねたところ、トップは「キャリアセンター訪問」で46%、次いで「インターンシップ」が41%となっています[図表4]。特に大企業では、「インターンシップ」とする企業が56%と半数を超え、「キャリアセンター訪問」を抜いてトップになっています。
第44回 2016年卒採用に向けての各企業の動向について
ここで注目したいのは、3番目に挙がっている「採用ホームページオープン」で、37%もあります。これまで、採用広報解禁日が12月1日であれば採用ホームページのオープンも12月1日、採用広報解禁日が10月1日だった時代には採用ホームページのオープンも10月1日でした。採用広報解禁日は、就職ナビの正式オープン、すなわちプレエントリー受付の開始日でもありましたので、その日に合わせて各社は自社の採用ホームページもオープンさせてきたものです。
 ところが、今年は解禁日前に採用ホームページをオープンする企業が多いようです。そこで、具体的にいつ採用ホームページをオープンするのかを聞いてみました[図表5]。すると、圧倒的に多かったのは「2014年12月」という回答です。採用広報が解禁される「2015年3月」がわずか18%なのに対して、「2014年12月」は27%もあり、さらには、「2014年11月以前」とする企業も19%もあるのです。
第44回 2016年卒採用に向けての各企業の動向について
では、12月に採用ホームページをオープンさせることは、今回の「指針」に照らし合わせた時、違反行為になるのでしょうか。実は違反ではないのです。「採用選考に関する指針」の手引きを見ると、解禁日以前は「不特定多数向けの情報発信以外の広報活動を自粛する」とあるのです。セミナー参加者だけとか、特定の大学の学生だけとか、限られた対象にのみ告知することを禁止しているものの、採用ホームページのように「不特定多数向け」の情報発信は禁止されていないのです。ただし、プレエントリーの受付開始は禁じられていますので、一方的な情報発信に限られます。
 ただ、これにも抜け道があります。大企業における解禁日前の施策のトップが「インターンシップ」であったように、インターンシップの募集告知をホームページに掲載して、その応募を受け付けること自体は何ら問題がないのです。12月どころか、サマーインターンシップの募集時期を考えれば、5~6月くらいから応募受付は開始しているわけです。そのため、今年は「インターンシップ」という名称のセミナーがやたら増えているようです。多分、10月以降では後期試験が終わる2月が、インターンシップのピークになるものと思われます。

新しい取り組みで目立つのは「インターンシップ」と「大学対策」

最後に、2016年新卒採用で考えている新しい取り組みとして、採用担当者から寄せられたコメントをご紹介します。ご参考にしてください。

・上位校に絞って研究室やOB活動を実施(輸送機器・自動車/501~1000名)
・就職ナビ一本ではなく、複数のチャネルで採用活動を行う必要があると強く感じている(建設・設備・プラント/501~1000名)
・今まで、アプローチできていなかった地方大学へのアプローチ。就職ナビ主催の地方での合同企業説明会への参加(建築・土木・設計/301~500名)
・保護者への自社認知度アップ(旅行・ホテル/5001名以上)
・リクルーターの活動を強化する(電機/5001名以上)
・秋・冬インターンシップ(情報処理・ソフトウェア/101~300名)
・夏~冬のインターンシップの実施、大学のキャリアセンターや学部の就職担当者との連携強化(情報処理・ソフトウェア/101~300名)
・大手企業が採用を本格化した際の辞退多発に備え、内定出しや選考の進行を考慮する(鉄鋼・金属製品・非鉄金属/101~300名)
・ナビのみならず、学校との結びつきや対外的な露出の機会(合説など)も重要さが増す気がしている(マスコミ関連/51~100名)
・期間が短いため、採用選考のスピードを高める施策を考慮中(情報処理・ソフトウェア/301~500名)
・知財もしくはIT技術に関する大学講座の開講(情報処理・ソフトウェア/11~50名)
・G-MARCHクラス以上の学生を集めたベンダー主催のセミナーに参加(繊維・アパレル/501~1000名)
・新卒採用の枠、中途採用の枠をなくして通年オープンでの採用活動を計画中(マスコミ関連/301~500名)
・単独実施ではない異業種企業合同によるコラボインターンシップを8月に実施予定(食品/1001~5000名)
・インターンシップの通年化(通信/1001~5000名)
・脱大手メディア採用。大学キャリアセンター・学内説明会の積極参加(精密機器/51~100名)
・研究室との関係性強化、既存社員の卒業校との関係性強化(医療・福祉関連/501~1000名)
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