ProFuture代表の寺澤です。
1月27~28日に開催された新卒向け就活イベントが、朝日新聞やテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』などで取り上げられました。このイベントは、インターネット上の仮想空間「メタバース」を使った合同就職説明会で、イベント名称は『メタバース新卒採用EXPO2024』。主催は、人材会社の株式会社ネオキャリアとメタバース事業を展開するスタートアップ企業である株式会社X。コロナ禍以降、合同会社説明会のオンライン化も進みましたが、その多くはタイムスケジュールで各社の会社説明会の時間帯が指定され、予約をした上でその時間に視聴するというものです。
第143回 23卒採用の「インターンシップ」や「内定者フォロー」における各社の対応はどうだったのか? オンラインから対面への変化も
今回画期的だったのは、メタバース空間で企業の採用担当者と就活生が、「アバター」と呼ばれる自身の分身となるキャラクターを通して自由にコミュニケーションが可能となったことです。従来からの対面式の合同会社説明会会場に足を踏み入れたに近い感覚で、会場を自由に動き回ることができ、学生は匿名のまま採用担当者に質問もできたとのこと。資料のダウンロードでは、自身の氏名やメールアドレス等の情報を公開する必要がありますが、それまでは匿名のままコミュニケーションが取れますので、応募するかもしれない企業の採用担当者に対して、自身の情報を開示しては聞きづらいような質問もできたことが、学生の高評価にもつながったようです。

ここまで来ると、3年前、Zoom等のオンラインコミュニケーションツールの使い方も満足に分からず、オンラインでの会社説明会や面接に四苦八苦していた頃のことを思うと、隔世の感がありますね。昭和世代の採用責任者や経営者は、この先どこまで世の流れについていくことができるのでしょうか。私も含めてですが・・・。

内定者フォローだけでなく応募者フォローにも注力

さて今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に2022年11月28日~12月9日に実施した「2023年&2024年新卒採用動向調査」の結果を見ていきます。まずは、2023年卒採用から簡単に振り返ってみましょう。

「2023年卒採用活動で苦労した点」を聞いたところ、全体では「ターゲット層の応募者を集める」と「応募者の数を集める」がどちらも半数近くに上り、続いて「応募者フォロー」と「内定者フォロー」が23%で並んでいます。また、大学キャンパス内が再び活況を呈してきたこともあり、「大学との関係強化」が5位と上位に食い込んできています[図表1]。なお、今回は図表を見やすくするため、あえて選択肢の全項目をグラフに表示することなく、「全体」での上位10項目に絞って紹介しています。
[図表1]2023年卒採用活動で苦労した点(複数回答、全体のTOP10)
企業規模別に見ると、順位の差こそあれ、上位10項目はほぼ同じ顔ぶれです。1001名以上の大企業では、「ターゲット層の応募者を集める」が55%と半数を超えてトップ、次いで「応募者の数を集める」37%、「内定者フォロー」34%などとなっています。採用規模が大きいため、ターゲット層に絞り込んだ応募者集めが重要であるとともに、内定を出した後も入社に至るまでの内定者フォローも重視され、中堅・中小企業より高負荷となっている様子がうかがえます。また、「面接官のスキル向上」を挙げる企業の割合が他の規模よりも多く、オンライン面接での応募者の見極め力や、応募者・内定者へのグリップ力の強化を図りたいとの狙いがあるものと推測されます。

301~1000名以下の中堅企業では、「ターゲット層の応募者を集める」と「応募者の数を集める」がともに50%で並んで最多となっています。ターゲットに限定されない母集団集めに苦労しているとともに、「内定者フォロー」より「応募者フォロー」の割合がわずかに高く、内定を出す前の選考段階から応募者の離脱(選考辞退)防止を重視している企業が少なくないことがうかがえます。300名以下の中小企業では、「応募者の数を集める」が50%で、「ターゲット層の応募者を集める」の44%を上回っています。中堅企業と同様に、母集団形成や選考辞退に苦労しているようです。

中小企業は「対面主体」で面接が7割以上

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