・はじめに

人事・給与・勤怠管理、こういった業務に携わる方にとっても耳に入ることも多いと想像する「クラウド・コンピューティング」という言葉。この「クラウド」というまさに「雲」のようにあいまいな定義のITプラットフォームの活用を促す、諸論が氾濫といっていいほどに巷にあふれている中、業務の実務としてどのようにこれらを「取り入れて」あるいは「捕らえて」用すべきなのか。
ITを無視して業務を効率的に運用することは、いまや不可能といっても良い中で膨大な情報のうちから、これらの最適な活用方法や今後この変わりゆく技術変遷の中で、どのような方向に向かっているのか。あるいはどのように実務ツールとして捕らえていくべきなのか、筆者の私見も交えながら解説をしていくこととします。

・クラウドコンピューティングとは?

まず、クラウドコンピューティングとは、何を定義したものなのかを簡単に解説するものなのかを簡単に解説したいと思います。
ITに関する知識に明るい方であれば、少し退屈な話かもしれませんがしばしご容赦ください。

「クラウドコンピューティング」とはすなわち、主としてインターネットの先に用意されたIT機器やアプリケーションなどのリソース(これを「ITリソース)と呼びます)を「ユーザーが利用する」形態を言います。具体的な例を挙げれば、Googleの「Gmail」などのWEBメールや楽天やアマゾンなどのインターネットショッピングなど、これらのサービスやツールを皆様も利用されたことがあるのではないでしょうか。これらもクラウドが実現したサービスのひとつになります。
なぜクラウドという言葉を使うのか?それは

「バックグラウンドのシステム構成などは意識するとこのない雲のような存在であり、利用者は提供されるサービスを利用することができる」

ものであるからです。すなわち、どんなサーバ機器、OSはWindowsなのかMACなのかデータベースはSQLサーバか、ORACLEかなどは雲の中の見えないものとして、必要なITサービスを利用できるということになります。

これをイメージ化したものが下記の概念図になります。
第1回 クラウド時代の到来

・業務システムのクラウド化

従来クラウド技術をベースにしたサービスは、先に挙げたような「WEBメール」「インターネット・ショッピング」など、「個人」を対象としたサービスが隆盛していました。ところがここ数年、企業におけるIT利用の中でもクラウド化の動きは進んできています。

人事関連業務で言っても、
・グループウェア
・インターネット上での給与明細照会サービス
・勤怠管理システム

など、様々なサービスがすでに多くリリースされていることは周知の事実です。
また、人事管理や給与計算システムなども近年多くのベンダーがリリースを発表しており、まさにクラウドは業務運用を行う上で、無視できないファクターとなってきているのは間違いないでしょう。

これは、人事関連業務を問わず財務会計や在庫管理、販売管理など企業におけるほぼ全ての業務プロセスに起こっている現象であり「クラウド」というキーワードが単なる流行のバズワードではなく、スタンダードとしての浸透を物語っていると考えます。

このような状況の中で、ユーザー側も今後クラウドはどのように変遷していくか、あるいはこれによって企業にどのような変化をもたらすのか、そして何を選定し利用すべきなのかを次回より考察していくこととします。
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