「健診・特殊健診の効率化」「健康リスクの早期発見」を目的に導入も、41.0%がフォロー体制の未整備に悩む実態

株式会社Mediplatは、健康管理システムを導入済みの企業の人事・総務担当者または産業保健スタッフ105名を対象に、「健康管理システムの運用最適化に関する調査」を実施しましたので、その結果をお知らせいたします。

■主な調査結果
1. 導入目的:「健診管理の効率化」と「リスクの早期発見」が上位
「健康診断・特殊健診などの管理効率化」(49.5%)、「従業員の健康リスクを早期発見・フォローアップ」(48.6%)が上位となり、多くの企業で“健診データの一元管理”と“予防・早期対策”に期待が寄せられている実態が明らかになりました。

2. 8割が「導入目的を達成できている」と回答
システム導入による効果として、80.0%の企業が「十分またはある程度目的を達成できている」と回答。特に「組織や拠点ごとの受診率・結果を把握しやすくなった」(55.2%)や「リスクの高い従業員の早期発見・フォローが可能になった」(55.2%)がメリットとして挙げられました

3. 運用課題:フォロー体制や産業医・保健師との連携がボトルネック
一方で、41.0%の企業が「健診結果は見られるがフォロー体制が整っていない」と回答。さらに、45.7%が「オンライン面談などの体制が整っていない」とし、産業医や保健師との連携・面談調整が十分に行えず、従業員一人ひとりの健康課題に対応しきれていない現状が浮き彫りとなりました。

4. 他システム検討の背景に“実務負荷”と“連携不足”の課題
「現在のシステムを今後も継続する予定」と答えた企業は53.3%でしたが、「他のシステムへの切り替えを検討している」(32.4%)企業も少なくありません。理由としては、「UIが使いにくい」「産業医・保健師との共有が煩雑」などが挙げられ、運用負荷の高さが導入効果を十分に引き出せていない要因と考えられます。

■健康管理システムの導入目的、「健康診断・特殊健診などの管理効率化」や「従業員の健康リスクを早期発見・フォローアップ」が上位   
はじめに、「健康管理システムを導入した主な目的」について調査したところ、「健康診断・特殊健診などの管理効率化」が49.5%、「従業員の健康リスクを早期発見・フォローアップ」が48.6%、「紙・Excel管理からの脱却」が47.6%となりました。

■8割の企業から、健康管理システム導入により「目的を達成できている」との声
次に、「健康管理システムの導入による、目的の達成状況」について調査したところ、「十分に達成できている」が20.0%、「ある程度達成できている」が60.0%となりました。

■健康管理システム導入によるメリット、「組織や拠点ごとの受診率・結果を把握しやすくなった」と「リスクの高い従業員を早期発見・フォローできるようになった」が同率1位
加えて、「健康管理システムの導入によるメリット」を調査したところ、「組織や拠点ごとの受診率・結果を把握しやすくなった」が55.2%、「リスクの高い従業員を早期発見・フォローできるようになった」が55.2%、「産業医・保健師などとの連携がスムーズになった」が34.3%となりました。

■健康管理システム運用の課題、「健診結果や判定は見られるが、その後のフォロー体制が整っていない」が41.0%で最多                                                
続いて、「健康管理システムの運用に関する課題」を調査したところ、「健診結果や判定は見られるが、その後のフォロー体制が整っていない」が41.0%、「産業医や保健師などがシステムをうまく使いこなせない」が36.2%、「システム操作が複雑、UIが使いにくい」が35.2%となりました。

■約6割が、健診結果をもとに「フォローが必要な従業員に対して産業医・保健師がアプローチしている」と回答
また、「健診結果をもとにしたフォローアップ・リスク管理方法」について調査したところ、「フォローが必要な従業員に対して産業医・保健師がアプローチしている」が59.0%、「メンタル面も含め、総合的に確認している」が45.7%、「人事と産業保健職が対応している」が31.4%となりました。

■産業医・保健師との連携に関して、「オンライン面談などの体制が整っていない」や「面談日程調整やレポート共有が煩雑」の悩みあり                  
加えて、「産業医・保健師との連携で困っていること」について調査したところ、「オンライン面談などの体制が整っていない」が45.7%、「面談日程調整やレポート共有が煩雑」が41.0%、「産業医・保健師とのコミュニケーションが不足している」が32.4%となりました。

■約6割が、健康管理システムの「健診結果管理機能」が重宝していると実感           
さらに、「現在利用している健康管理システムで、重宝している機能」について調査したところ、「健診結果管理機能」が58.1%、「ストレスチェック機能」が40.0%、「健康診断予約機能」が35.2%となりました。

■健康管理システムの運用改善のために必要な機能、「ストレスチェックや残業時間など、他データとの統合管理機能」「データ分析やレポート作成の支援」など
続いて、「健康管理システムの運用を改善するために必要だと思う機能やサポート」について調査したところ、「ストレスチェックや残業時間など、他データとの統合管理機能」が61.9%、「データ分析やレポート作成の支援(簡単なダッシュボード、経営層向けレポート自動生成など)」が51.4%となりました。

■現在利用中の健診管理システムについて、53.3%が「今後も継続利用する予定」、一方で、32.4%が「他のシステムへの切り替えを検討している」実態                                  
最後に、「現在利用中の健診管理システムの、今後の利用方針」について調査したところ、「今後も継続利用する予定」が53.3%、「他のシステムへの切り替えを検討している」が32.4%となりました。

■まとめ                                             
今回の調査では、健康管理システムを導入済みの企業の多くが、一定の導入効果を実感している一方で、運用面において多くの課題を抱えている実態が明らかになりました。具体的には、目的達成率は
・8割に上るものの、41.0%の企業が「フォロー体制が整っていない」と回答し、
・36.2%は「産業医や保健師などがシステムをうまく使いこなせない」、
・32.4%は「他システムへの乗り換えを検討している」といった声も見られました。
また、健診結果の活用状況についても、“データは見られるが、活かせていない”という企業が多数存在しており、システムと実際の産業保健活動の間にギャップがあることが浮き彫りになりました。
これらの結果から、単に健康管理システムを導入するだけでは、健康経営の実現には不十分であり、「導入後の運用設計」や「医療専門職との連携体制の整備」こそが成功の鍵であると考えられます。
健康管理システムの運用実態調査