第5回

日々の仕事やキャリア、学習を連動させ、「自律的に学び、自ら成長する個人・組織」をつくる

Introduction

企業の競争優位性を高め、持続的な成長を続けながらビジョンを実現させるには、社員の共感が欠かせず、一人ひとりの持つ能力が結果を大きく左右する。仮に自社に足らないものがあるのなら、外部に新たな人材を求めるか、自社の社員を育成することが必要になる。一方、今は人手不足の時代。コロナ禍で一時的に下がった求人倍率も再び高止まりの傾向を見せている。今後の人口減少を考慮すると、人材獲得競争はますます激化する傾向になるだろう。
さらに、正解が見えない中でビジネスを進める昨今の状況を鑑みると、社員が自律的に学び、自ら成長することが必要不可欠とさえ言える。しかし、この点に関し、課題を抱える企業は少なからずあり、理想とは程遠いという現状もあるだろう。
これを受け今回、企業の競争優位性を高める「自律的に学ぶ個人と成長する組織」をテーマに社員育成やラーニングテクノロジーに豊富な知見を持つユームテクノロジージャパン株式会社 戦略人事顧問・安田 雅彦氏とラーニングエバンジェリスト・小仁 聡氏の対談を企画した。以下にレポートする。

自律型人材が組織を動かすコアになる

小仁氏このところ、人事の方からの相談で、「自律的に成長する社員・組織」がキーワードに挙がることが非常に多くなっています。これほど強く要望される背景として、どんなことがあると考えられますか。

安田氏日本の企業社会の前提が崩れていることが指摘できるのではないでしょうか。終身雇用や年功序列などいわゆる日本型雇用は、経済が安定的に成長することを前提にして成り立っていました。多少会社から無茶を要求されても、雇用や給与アップが保障されているからこそ、受け入れることができました。
しかし、今はその前提がなくなっています。会社の要求に従っても、何のインセンティブもないわけです。では、何が働く原動力になっているかというと、これはもう自らの意志でしかありません。自らの意志がビジネスを動かすコアになるのだから、自律型人材が当然に組織を動かすコアになるのです。自ら課題感やアスピレーション、パーパスを持っていないと、ビジネスや新たな価値を生み出すことはできない。
最近はパーパス経営という言葉もよく耳にしますが、パーパスを持つ人が集まってパーパス経営を成り立たせている側面もあります。こうした状況ですので、自律型人材を求める企業が増えているのだと考えられます。

小仁氏前提が崩れているのは強く共感できます。個人と組織の関係性も変わりました。エンゲージメントが重要視されるようになったのも、その表れでしょう。

安田氏これまではエンゲージメントがなくても、とにかく会社に所属さえしていれば、将来はある程度安心できました。

小仁氏先行きが不透明な経済状況の中で、成長するのが当たり前ではなくなっています。イノベーションを起こして、変わっていかざるを得ません。

安田氏そうしないと組織の存続は困難になっていますね。どちらかというと、これまでは個人が会社に人生をゆだねてきました。しかし、今は人生をゆだねられても困るというのが、会社側の本音でしょう。自律型人材になってもらわないと、ビジネスがドライブされません。

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このあとの対談では、その他にも以下のようなことが語られています。

  • 組織を動かすコアになる、自律型人材の必要性
  • 日々の仕事への向き合い方が「社員の自律」を促す
  • 外資系企業の人事がみた、日々の仕事を成長機会を結びつけるポイント
  • 個人と組織が共に成長を成し遂げるためには
  • 全員の腹落ちがあってこそ、フィードバックカルチャーは創られる
  • テクノロジーを活用することで、理想のフィードバック&コーチングに近づける

Profile

ユームテクノロジージャパン株式会社 戦略人事顧問
株式会社 We Are The People 代表取締役

安田 雅彦

大学卒業後、西友にて人事採用・教育訓練を担当、子会社出向の後に同社を退社し、2001年よりグッチグループジャパン(現ケリングジャパン)にて人事企画・能力開発・事業部担当人事など人事部門全般を経験。2008年からはジョンソン・エンド・ジョンソンにてSenior HR Business Partnerを務め、組織人事や人事制度改訂・導入、M&Aなどをリードした。2013年にアストラゼネカへ転じた後に、2015年5月よりラッシュジャパンにてHead of People(人事統括 責任者・人事部長)を務める。2021年7月末日をもって同社を退社し、株式会社 We Are The Peopleを起業。 ソーシャル経済メディア「NewsPicks」ではプロピッカーとして活動。

ユームテクノロジージャパン株式会社
ラーニングエバンジェリスト

小仁 聡

上智大学在学中にウィスコンシン州立大学に留学し、チャーター・スクールという公設民営型学校設立に関する「教育行政学」や世界の教育制度の比較を学ぶ「比較教育学」を学ぶ。千葉県内のフリースクール、学習障がい児の支援などにも関わる。大学卒業後、株式会社ビジネスコンサルタント、アルー株式会社、株式会社ファーストキャリア、株式会社セルムを経て、株式会社ラーニングシフトを設立。ユームテクノロジージャパンには2018年に参画。100年時代の学びをアップデートするべく、HRテクノロジーを活用した事業開発、組織開発コンサルティングを提供している。著書に『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学』(フローラル出版刊)。

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