第4回

メルカリHRマネージャーと伝説のマネージャーが語る、新しい時代に対応するための組織マネジメントとは

Introduction

ビジネス環境は激変し、ビジネスモデルや組織のあり方の変換が迫られている。未来の予測は誰にもできないが、一方で2025年問題(超高齢社会に伴う労働人口の減少)や2025年の崖(既存ITシステムの老朽化や人材不足の深刻化)という差し迫った課題もある。こうした事態に対応するため、日本企業はどのように組織をマネジメントすべきなのか。
これを受け今回、「組織マネジメント」をテーマに、株式会社メルカリでHRマネージャーとして人事戦略の策定や人事制度の企画などを担当し、メルカリグループの新しい働き方「YOUR CHOICE」や福利厚生制度「mercibox」のプロジェクトを推進した望月 達矢氏と、元・日本マイクロソフト株式会社 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長で「プレゼンの神様」「伝説のマネージャー」と呼ばれた、ユームテクノロジージャパン株式会社 IT戦略顧問 兼 ユームラーニングエバンジェリスト 澤 円氏の対談を企画した。

組織を三層構造で捉えると、
マネジメントの役割が明確になる

澤氏望月さんはメルカリグループ全体を統括するHR領域のマネージャーを務めており、人事の立場として、組織を考える機会も多いのではないかと思いますが、組織マネジメントとはどう考えられていますでしょうか。

望月氏組織マネジメントとは?と聞かれると難しいですね。ぱっと思いついたイメージではありますが、私は組織マネジメントを「良い習慣づくり」と捉えています。たとえば、会社としてOKRを設定することで組織のフォーカスが一目でわかりますし(だから自分の仕事で組織にどう貢献していけばいいかが考えやすくなる)、全体定例会をweeklyで実施することで経営に関する情報や人事関連の大事な話がわかりますし(だからみんな参加するようになる)、経営会議ではフォーマットを整備することで、議論ポイントが明確になり有効な時間活用ができます。
これらはすべて、モチベーションの有無やグレードの高低に限らず全員が同じような動き方になるよう、組織としての習慣づくりを考えています。組織をマネジメントするという意味では、ミッション達成・ビジネスの成功確度をあげるにあたり、組織を良い方向に導けるようこの「良い習慣づくり」が肝であるとメルカリ人事としては思っています。澤さんは長年、マネージャーとして活躍された経験を持っています。組織マネジメントをどのように捉えていますか。

澤氏経営の三層構造とよく言っており、経営者、マネージャー、一般社員とそれぞれ別の視点を持っていると考えています。あらゆるビジネスは社会への貢献を果たしていることが前提で、その上で、経営者の視点が社会貢献。マネージャーは仕組化・運用。これは望月さんがおっしゃっていた習慣づくりとほぼ同義だと思います。
一般社員はタスクの実行です。経営者は自社や社会を含め「全体像」が見えていなければなりません。マネージャーは組織の「内部構造」を見る必要があり、自身の所属チームや部門に限らず他とのつながりを認識しておくことも必須です。一般社員は「解像度がもっとも高い世界」を見ています。

望月氏ぜひ、より詳しい説明をお願いします。

澤氏例えば、クルマを例に取り上げます。スポーツカーの場合はスポーティーに走ることが社会貢献になるでしょう。スポーティーに走るために安全に走る・曲がる・止まるの実現を目指すのがマネージャーの視点です。一般社員のもっとも解像度の高い世界では、コーナーでのグリップやパワフルな加速性能の向上などに努めます。マネージャーとしては解像度の高い世界で行っていることに興味を持ち、深く理解して社会貢献、この場合はスポーティーに走る、につなげる役割を担います。
また、トラックを例に挙げるなら、社会貢献は多くの荷物を運ぶとなります。マネージャーの視点は安全に走る・曲がる・止まるの実現を目指すで、スポーツカーの場合と同じです。抽象度を上げるとマネージャーに求められることは、業種や職種で共通しています。一方で、解像度の高い世界はまったく異なり、最大積載量の増加や積載時の加速性能などを追及することになります。
マネージャーとしては、解像度の高い世界で活躍する一般社員の業務が、自社が目標とする社会貢献に向かっているか、調整し都合をつけていかねばならないのです。多くの荷物を運ぶことが社会貢献のトラックなのに、エンジンの馬力をスポーツカーのようにとことん高めようとされても困ります。目指す社会貢献や解像度の高い世界で行うことは、組織ごとに異なります。双方に都合をつけて調整するのがマネージャーの視点であり仕事です。

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このあとの対談では、その他にも以下のようなことが語られています。

  • 組織マネジメントを捉える前に、「経営の三層構造」を理解せよ
  • マネージャーという役職は役割にすぎない
  • マネージャークラスの育成をコストと考えてはいけない
  • マネージャーの仕事は「先回りして道を掃除すること」
  • メルカリグループが目指す組織づくりとは?
  • 「データ活用」がこれからのマネージャーに求められるアクションとなる

Profile

株式会社メルカリ(株式会社メルコイン)
HRBP マネージャー

望月 達矢

大学卒業後、外資系生命保険会社、エンタメ企業、ITベンチャーを経て2017年12月株式会社メルカリに入社。People Experience Teamのマネージャーとして、EX向上に向けた人事戦略の策定や人事制度の企画などを担当。プロジェクトオーナーとして、新しいメルカリグループの働き方「YOUR CHOICE」や福利厚生制度「mercibox」に卵子凍結支援の追加等をリリース。2022年からメルカリグループの新規事業である株式会社メルコインのHRBPマネージャーも務め、新しい時代の組織づくりに注力している。

ユームテクノロジージャパン株式会社
IT戦略顧問 兼 ユームラーニングエバンジェリスト

澤 円

生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、大手外資系IT企業に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行うようになる。直属の部下のマネジメントだけではなく、多くの社内外の人たちのメンタリングも幅広く手掛けている。2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。

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