「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

株式会社MS-Japanは2023年10月19日、「管理部門・士業の有給取得実態調査」の結果を発表した。調査期間は2023年9月27日~10月3日で、全国の管理部門・士業人材383名より回答を得ている。本調査により、管理部門・士業の有給付与日数や消化日数、有給が取りづらい理由などが明らかとなった。

有給付与が「20日以上」の管理部門・士業は5割超

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2021年の有給取得率は58.3%だったという。政府はこの状況を変化させるべく、「2025年までに有給取得率70%」との目標を掲げている。また、同省が毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定めていることから、10月に社員の有給取得を促す企業もあるだろう。そうした中で、管理部門や士業の有給取得率は、どの程度なのだろうか。

はじめにMS-Japanは、「有給の付与日数と消化状況」を尋ねた。すると、付与日数は、「20日以上」が55%で最も多く、以下、「10~14日」が32.5%、「15~19日」が12.5%と続いた。

また、「消化日数」を尋ねたところ、「5~9日」が34.7%で最も多く、「10~14日」が31%と僅差で続いた。以下、「20日以上」が13.7%、「15~19日」が8.9%、「1~4日」が8.5%、「1日も取得していない」が3.3%だった。20日以上の有給消化をしている人は、20日以上“付与”されている人の3割に満たない状況がうかがえた。また全体では、義務化されている「年5日間」の有給取得をできていない人が1割程度いることも明らかとなった。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

有給の消化日数は企業規模によって差あり

次に同社は、「有給の消化日数」を企業規模別に比較した。その結果、企業規模が大きくなるほど、「有給取得日数が5日を切る人」は減る傾向が見られた。また、「有給を10日以上取得している人」の割合は、従業員数1,000名以下の企業では5割前後であるのに対し、1,000名以上の企業では6割を超えており、企業規模による違いがあることも明らかとなった。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

20日以上の有給消化は「経理職」が最多

続いて同社が、「有給消化日数」を職種別で比較すると、「20日以上」の割合が最も高かったのは「経理」(16.2%)だった。また「法務」では、有給取得日数が5日を下回る人は0%だった。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

有給が取りづらい理由は「業務に支障が出るから」が4割超

次に、同社が「有給の取りづらさ」を尋ねた結果、「業務に支障が出るから」が45.2%と群を抜いて多かった。以下、「突発的な業務が多く有給の計画を立てづらい」が25.3%、「同僚や上司が有給を取得しない」が12.4%と続いた。「休むことで業務に支障が出ること」を懸念している人が多いとわかる結果になった。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

3人に1人が「有給の取りづらさ」によって転職を検討

続いて同社は、「有給が少ない・取りづらいなどの有給への不満をきっかけに転職を検討した/転職したことはあるか」を尋ねた。すると、「転職活動を行った/転職した」(15.5%)と「転職を検討した」(19.7%)の合計は35.2%と、有給への不満をきっかけに転職の検討、および転職をした人は3割を超えた。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も

7割超が“転職条件”として「有給付与日数」を重視

最後に、同社が「転職時に有給の付与日数を重視するか」を尋ねると、「とても重視する」(20.7%)と「少し重視する」(52.4%)の合計は73.1%だった。7割以上が、転職の際に「有給の取りやすさ」を重視するようだ。

また、「転職時の有給希望日数」を尋ねた結果、「11~14日」(30.6%)が最も多かった。以下、「20~24日」(22.1%)、「15~19日」(21%)、「25日以上」(9.6%)が続いた。少なくとも15日以上の付与を希望する人は半数以上、20日以上を希望する人は3割以上いることが明らかとなった。
「管理部門・士業」が有給取得しづらい傾向、8人に1人が「5日未満」に。業務支障を懸念する声も
本調査結果から、管理部門・士業の有給消化日数は「5~9日」が最も多かった。また、有給が取りづらい理由として、「業務への支障」や「有給取得に対する職場の文化」が上位に挙がっていた。有給への不満は「働きやすさ」や「従業員エンゲージメント」にも影響があると推察できる。離職防止の観点からも、管理部門や士業でも有給を取りやすい環境を整えていくことが求められそうだ。