テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2022年2月14日、「テレワークのメリット・デメリット」についての調査結果を発表した。調査期間は2022年2月4日~8日で、1,837社から回答を得た。これにより、「テレワークの導入状況」や、「企業の規模や業種ごとにメリット・デメリットをどのように捉えているか」などの実態が明らかとなった。

3割の企業がテレワークを実施も、そのうち半数超が「デメリットの方が大きい」と回答

働き方や価値観の変容からテレワークを推進する企業が増えているが、実際にテレワークを行なっている企業では、どのようなメリットやデメリットを感じているのだろうか。

まず、TDBは「テレワークの実施状況と見解」について尋ねている。すると、「テレワークを実施している」企業は31.5%、「実施していない」企業は61.5%だった。「テレワークを実施している」とした企業のうち、「デメリットの方が多い」とした企業は16.4%となり、「メリットの方が多い」の15.1%を上回る結果となった。
テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に

「従業員300人超企業」におけるテレワーク実施率は半数以上。全体を大幅に上回る

また、同社がテレワークの実施状況を「従業員数」別に調べたところ、従業員数が「300人超」の企業では、「テレワークを実施しており、メリットの方が多い」が45.5%となり、「実施しており、デメリットの方が多い」とした12.1%を大きく上回った。

従業員数が多いほどテレワークの実施率は高くなったが、「メリットの方が多い」の回答率が「デメリットの方が多い」の回答率を超えたのは、「300人超規模の企業」のみだった。
テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に

「製造業」のテレワーク実施率はいまだ低い水準に

続いて、同社が「製造業」と「非製造業」のテレワークの状況を比較すると、業務上現場作業が多い「製造業」でのテレワーク実施割合は26%と、「非製造業」の33.5%を7.5ポイント下回った。製造業でテレワークを実施している企業では、「メリットの方が多い」が12.5%、「デメリットの方が多い」が13.5%で、1ポイント差と僅差であった。

また、非製造業でも「メリットの方が多い」が16%だったのに対し、「デメリットの方が多い」は17.5%となり、1.5ポイント差となった。テレワーク実施によるメリットとデメリットの感じ方は、製造業・非製造業を比べても拮抗している様子がうかがえる。
テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に

1都3県でのテレワーク実施率は約5割に。全国平均を15ポイント以上上回る

さらに、地域別にテレワーク実施状況をみてみると、「東京」、「神奈川」、「埼玉」、「千葉」の1都3県におけるテレワークの実施率は47.2%となり、全体の31.5%を15.7ポイント上回る結果となった。中でも「東京」では56.3%と、半数超の企業がテレワークを実施していることがわかった。

一方で、テレワークを実施している企業において、地域によるメリット・デメリットの捉え方には大きな差はみられず、「全国」と「1都3県」および「東京」のいずれも、「メリットの方が多い」と「デメリットの方が多い」の回答率が拮抗する結果となった。
テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に

一番のデメリットは「社内コミュニケーションの減少」か

同社が、アンケートでの自由回答から「具体的なメリットやデメリット」を集計した結果、メリットの方が多いとしている企業で最も多い回答は、「通勤時間や移動時間を有効活用できる」で35.7%だった。以下、「新型コロナの感染を防げる」が15.2%、「ワークライフバランスを実現できる」が13%などと続いた。

一方、デメリットの方が多いとした企業で最も多かった回答は、「社内コミュニケーションが減少する、意思疎通が困難」で26.6%となったほか、「できる業務が限られる」が19.3%、「進捗や成果が把握しにくい」が14.6%などと続いた。
テレワークの実施率やメリット・デメリットとは? 導入状況は「地域」や「企業規模」によって格差が生まれる結果に
テレワークを実施している企業は全体のおよそ3割にとどまり、その半数がデメリットをより多く感じているということが明らかとなった。「テレワーク」を“働き方の選択肢”として多くの企業が導入するためには、さまざまな壁を乗り越える必要があるようだ。