学習院大学

第3回

単なる語学教育ではなく、他者との
インタラクションを通じて成長する力を磨く。
国際社会科学部一期生が語った
グローバル人材を育てる教育とは

  • 小栗 弥一郎
    学習院大学
    国際社会科学部 一期生
  • 伊藤 元重
    学習院大学
    国際社会科学部 教授
  • 岡根 珠緒
    学習院大学
    国際社会科学部 一期生

2016年4月に新設された学習院大学 国際社会科学部。その一期生がいよいよ2020年3月に卒業し、社会に羽ばたいていく。一期生たちは、多くの選択肢からなぜ新設学部への進学を決めたのか。そして、入学後にどのような学びを得て成長し、それを社会にどう活かそうと考えているのだろうか。また、大学は学生の意欲に対して、どんな機会を提供し、未来のグローバル人材をどう育成してきたのか。国際社会科学部教授の伊藤元重氏と、一期生である学生2名による鼎談を通して、学生たちの目覚ましい成長とその過程を詳しく紹介する。

国際的な舞台での活躍を目指して、
新設学部への進学を決めた理由とは?

伊藤
国際社会科学部の一期生である2人に、いろいろと話を聞いてみたいと思います。まず、なぜ新設の本学部に進学することを決めたのでしょうか?
岡根
私は幼少期から、将来はグローバルな環境で仕事をしたいと思っていました。国際社会科学部では単に英語を科目として学ぶのではなく、英語をツールとして経営、経済、政治、法学など幅広い科目を学ぶことができます。それにより、ビジネスパーソンとして世界で様々なことを吸収する力が身に付けられると考えました。また、在学中の海外研修(留学)が必須であるため、その経験から国際的な感覚を磨くことができると思い、入学を決めました。
小栗
高校生の時、最も得意な科目が英語でした。また、金融に大いに興味があり、将来は会計関係の仕事に就きたいと考えていました。そこで、英語で国際会計を学べる学部で絞りこみました。しかし、最初から専門的な科目を英語で学習することは容易ではありません。国際社会科学部では、1〜2年時に日本語で幅広い科目を履修しながら、並行して英語力を底上げしていきます。そして、学問の基礎力と英語力を身に付けた上で、3年生からは英語で専門的な学習ができることが魅力でした。
伊藤
国際社会科学部の学生の多くが、将来はグローバルに活躍したいと希望しています。そのためにはまず大学で幅広いことを学び、将来海外で様々なことを吸収できる力を身に付けることが大切です。本学部ではリベラルアーツ教育を提供しており、柔軟に選べる専攻を学びながら将来のキャリア形成の土台を整えられます。それを期待して本学部を選んでくれたのは嬉しいですね。

英語で自分の意見を発信し、
議論するスキルを磨く

伊藤
続いて、入学後のことを聞かせてください。本学部では、1〜2年生では英語力を集中的に高める授業を行いますが、高校までとの違いをどう感じましたか。
岡根
高校までは、黒板を見て授業を聞くインプット型の授業でした。しかし、大学ではアウトプットの機会が多く、驚きました。特に印象深いのは、プレゼンテーションの授業です。様々なテーマで5分間ほど話すのですが、日本で生まれ育った私にとって、英語で自分の考えを伝えることは初めてで、慣れないうちは緊張しました。しかし、テーマを変えて何度も行うことで度胸もついて、人前でも堂々と自分の言葉で話せるようになりました。
小栗
ライティングスキルも鍛えられたと思います。高校までは、英語で文章を書くといえば、和文英訳くらいでした。ですから、英語で600ワード程度のレポートを書くように言われた時は驚きました。最初のうちは当然うまく書けず、先生から修正の赤字が大量に入りショックを受けましたが、回数を重ねるうちに、徐々に赤字も減って褒められるようになり、自信も芽生えてきました。
伊藤
日本の学校教育では、先生の話を聞いたり記憶したりすることが中心です。しかし、それはあくまで第一段階。第二段階は、自分で書いたり話したりして、発信することです。そして、さらに高いレベルになると、自分が発信したことに相手が反応して、それに返答をして、というインタラクションになります。海外の大学ではそれが当たり前です。しかし、日本で育った学生が苦手なのは能力がないからではなく、単に習慣がないからです。日本人学生も場数を踏んで慣れれば、海外の学生に負けない議論ができるようになります。ですから本学部では、1〜2年生の間はとにかくその習慣を付けてもらうような授業を行っています。
学習院大学国際社会科学部とは

学習院大学国際社会科学部は2016年4月に新設された、同大学で最も新しい学部である。国際的なビジネスコミュニティで活躍できる素養を身につけた即戦力のある人材の育成を目指し、社会科学の5分野「法学・経済学・経営学・地域研究・社会学」を幅広く学ぶカリキュラムを通じて、国際経済・社会が直面する課題を理解し、さらにそれを解決する力を養う。2020年春に第1期生が卒業を迎える。

学習院大学国際社会科学部
Profile
伊藤 元重 氏

伊藤 元重

学習院大学国際社会科学部教授

1974年東京大学経済学部卒業。1979年米ロチェスター大学大学院経済博士号取得。専門は国際経済学。東京大学大学院教授を経て2016年4月より学習院大学国際社会科学部教授。6月より東京大学名誉教授。税制調査会委員、復興推進委員会委員長、経済財政諮問会議議員、社会保障制度改革推進会議委員、公正取引委員会独占禁止懇話会会長などの要職を歴任。

男子学生

小栗 弥一郎

学習院大学 国際社会科学部 一期生
大手通信企業内定

女子学生

岡根 珠緒

学習院大学 国際社会科学部 一期生
総合商社内定

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